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庶民に愛された地獄信仰の謎 小野小町は奪衣婆になったのか (講談社プラスアルファ新書)


庶民に愛された地獄信仰の謎 小野小町は奪衣婆になったのか (講談社プラスアルファ新書)

 地獄を見たことがありますか?
 比喩ではなくて、本当の地獄です。「死後に、悪いことをした人が行く」といわれる地獄です。

 「死んだことがないんだから、見られるはずがないじゃないか」ですって? 正論ですね(^^)
 ところが、この世にいながらにして、あの世の地獄を、垣間見ることができるんですよ。

 日本には、地獄の様子を、絵図や立体彫刻にして、見せてくれるところがあります。自然の景観を、地獄に見立てている所もあります。
 本書は、著者の中野さんが、そのような「地獄めぐり」をしたルポルタージュです。

 とはいえ、重苦しかったり、堅苦しかったりすることは、ありません。脱力系ルポルタージュです。笑いながら読めます(^^)

 日本では、「あの世に閻魔【えんま】さまがいて、死者を裁く」といわれますね。閻魔さまは、仏教に取り入れられて、信仰の対象になっています。
 閻魔さま以外にも、信仰の対象になった、あの世の存在がいます。奪衣婆【だつえば】、小野篁【おののたかむら】などです。本書では、これらのものも紹介されています。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。
 目次の項目名が、ダジャレになっている部分があります。目次からして、脱力系だとわかりますね(笑)
 笑いながら読んでいるうちに、日本の地獄信仰について、知ることができます。

はじめに

第一章 奪衣婆【だつえば】、君がいるだけで
 閻魔【えんま】さまより奪衣婆!
 地獄のファーストレディを呼び捨て
 死ぬ前にこれだけは知っておきたい「むかえびと」の基礎知識
 垂れ乳は女の勲章
 地獄の覗きかた
 なぜナマ足垂直立て膝なのか
 など

第二章 地獄のちょい役列伝
 その前に、主役のこと
 懸衣翁【けんえおう】の謎
 地獄の真の主役、鬼卒【きそつ】と牛頭【ごず】馬頭【めず】
 イシュタルを全裸にした門番たちと十王
 肩の上のチクリ神
 僧頭婆身、王頭婆身
 など

第三章 街角の地獄、二丁目の秘密
 東京一の巨大地獄
 二丁目盆地と新宿のハッテン
 東京一、日本一の微小地獄
 奪衣婆はなぜ真綿をかぶるのか
 蒙古斑【もうこはん】は奪衣婆につねられた痕【あと】
 街角の地獄の現在形、大阪の全興寺

第四章 地獄の老舗と小野小町
 ハイグレードなあの世の密集地、鎌倉
 一日三回の恐るべき大どんでん返し
 日本の地獄発祥の地、京都
 地獄の巨人、小野篁【おののたかむら】
 冥界に響く鐘の音を聴く
 立ち現れる、あの世の都
 など

第五章 リアル三途の川をガチ渡り
 地獄目線の鍾乳洞めぐり
 地の底までバス停が終わらない!
 地下を流れる三途の川
 生死の境を地理的にさ迷う
 恐るべき歩道橋の罠とリアル衣領樹【えりょうじゅ】
 世界の三途の川
 など

第六章 独立地獄と閻魔の末裔
 初山十王堂への至福の地獄散歩
 閻魔さまは鈴木さんだった、絶対の絶対に
 さわやかな死者だらけの話
 日本三大鬼来迎【きらいごう】の夢
 村の地獄

第七章 すばらしき地獄の景観
 首都に一番近い火山地獄、箱根
 行けども行けども地獄がある
 卵男、箱根の底力を噛み締める
 もっとリピートしてみた
 天国のような那須の地獄
 湯船にも共存する地獄と極楽
 など

第八章 エンマの休日
 エンマが街にやってくる
 開かずの釜の蓋とそばエバ疑惑
 地獄絵の中のホセ
 江戸三閻魔の静かな休日
 意外にのんきな地獄絵
 地獄の雑談
 など

おわりに
この本に出てくる寺院などの所在地



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