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日本の幽霊


日本の幽霊

 日本人が、「幽霊」というものを、どのようなものだと思ってきたのかを、解説した本です。

 というと、堅苦しい本のようですね。決して、そんなことはありません。
 文章が平易で、読みやすいです。話題も、世俗的なことを、うまく取り上げています。頭でっかちの学者さんが書いた、という感じではありません。

 本書が最初に世に出たのは、一九六二年(昭和三十七年)です。それから何回か再版されて、最新の中公文庫BIBLIOで出たのが、二〇〇四年(平成十六年)です。
 このため、話題が古いと感じられることがあるでしょう。

 しかし、それは欠点ではなく、むしろ、魅力になっています。
 二〇一四年(平成二十六年)現在では、すたれてしまった日本の情緒が、本書の中に息づいているからです。

 本書では、現代の「幽霊」実体験も、少し、紹介されています。
 けれども、それよりも、日本の古典文学に現われる幽霊を、主に取り上げています。

 古典文学の中で、幽霊は、さまざまな現われ方をします。それらの例を調べてゆくと、多様な中にも、一定の傾向が見えてきます。

 幽霊は、いつ現われるのか?
 幽霊は、どこに現われるのか?
 幽霊と妖怪との関係は?
 幽霊は、なぜ現われるのか?
 人にとりつく幽霊とは?
 場所にとりつく幽霊とは?

 こういったことについて、日本人がどのように考えてきたのかが、わかります。
 非常に示唆的な内容で、面白かったです(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

幽霊の季節
幽霊と妖怪
場所に出る幽霊
人を目指す幽霊
家に憑く幽霊
浮動する霊魂
幽霊出現の理由

解説  堤 邦彦
索引



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