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日本の女性名―歴史的展望 (上) (教育社歴史新書―日本史)


日本の女性名―歴史的展望 (上) (教育社歴史新書―日本史)

 日本人の女性は、どのような名を持ってきたのかを、解説した本です。たくさんの実例が挙げられています。

 本書は、『日本の女性名』の上巻です。大和時代から、鎌倉時代までの女性名が取り上げられています。これ以降の女性名は、中巻と下巻に続きます。

 日本史を知りたい方にとっては、本書は、必読書の一つでしょう(^^) 大和時代から鎌倉時代までの、実際の女性名が、どっさり載っているからです。
 名前を知ると、古代の人々が、身近に思えてきます。タイムマシンで歴史をさかのぼって、「○○さん」と呼びかけてみたい衝動に駆られます。

 女性名ばかりでなく、男性名を知りたい方にとっても、本書は、役に立ちます。
 日本の古代においては、男性名と女性名の区別が少なかったからです。つまり、男女に共通する名前が多かったのですね。
 例えば、小野妹子【おののいもこ】という名は、現代の感覚では、どう見ても女性名ですね。けれども、これは、男性名です。
 和気広虫【わけのひろむし】という名は、男性っぽいですが、女性名です。

 「男女の名前に差が少ない」のは、古代日本文化の特徴です。重要な特徴のわりに、あまり知られていません。

 本書を読み進めば、目から鱗【うろこ】がぽろぽろ落ちるでしょう。
 日本史について、新たな視点が得られること、間違いなしです。歴史小説に、突っ込みを入れたくなります(笑)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

概説 日本女性の名
 人間の名前
 中世における女性名の研究
 近代における女性名の研究
 女性名の特色
 女性名の種類

第一部 古代
 1 大和時代
   遠古の女性名
   大和前期の特徴
   大和時代後期
 2 奈良時代前期
   庶民の女性名
   貴族の女性名
 3 奈良時代中期
   庶民女性名の分類
   庶民女性名の特色
   皇・王族と貴族の女性名
 4 奈良時代後期
   史料の問題
   貴族女性名の推移
   宮人・尼僧の名
   庶民・奴婢の名
 5 平安時代前期
   桓武・平城【へいぜい】朝の特色
   嵯峨朝以降の特色
   貴族女性名の子型化
   宮廷女性の呼び名
 6 平安時代中期(一)――延喜【えんぎ】・天暦【てんりゃく】の時代
   子型名の流行と童名
   宮廷・貴族の女性名
   庶民の女性名
 7 平安時代中期(二)――寛弘・永承の時代
   貴族の女性名と命名法
   呼び名・綽名【あだな】・童名
   内裏女房の地位と候名【さぶらいな】
   庶民の女性名
   法名と遊女名
 8 平安時代後期
   宮廷の女性名
   貴族女性名の特徴
   女房たちの候名
   庶民の女性名
   遊女・傀儡子【くぐつ】・白拍子【しらびょうし】の名
   藝名【げいめい】と法名

第二部 混成古代
 1 鎌倉時代
   混成古代の意味
   宮廷貴族の女性名
   女房たちの名
   庶民女性の名
   庶民の女性名の分類
   女性の法名
   白拍子・遊女などの名




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