ピアスの白い糸―日本の現代伝説
副題に、『日本の現代伝説』とありますね。現代伝説=都市伝説と考えて、ほぼ、間違いはありません。
つまり、これは、都市伝説の本です。日本の都市伝説を、たくさん集めています。
この本が刊行されたのは、一九九四年です。二〇一一年現在では、古びたと感じられる話もあります。
そのかわり、誰でも、一つや二つ、聞いたことがある話があるでしょう。
「これ、聞いた聞いた!」とか、「これって都市伝説だったの!?」などと、盛り上がれること、請け合いです。
二〇一一年現在でも、「現役」と思われる話もあります。
だいたい、都市伝説とは、同工異曲の話が、長く流通するものです。ぜひ、本書の中に、「最近、聞いた」話を探してみて下さい。きっと、あるはずです。
一九九四年当時は、都市伝説の本は、まだ珍しい存在でした。都市伝説めいた話をネタにする芸人さんなんて、いませんでしたしね(笑)
本書は、当時の都市伝説の様相を知るのに、貴重です。都市伝説は、世相を反映しますから、当時の世相をも知ることができます。
白水社という、学術系の出版社から、このような本が出たことも、貴重でしたね。
本書は、好評だったのでしょう。白水社から、続編が何冊も出ています。『魔女の伝言板』、『走るお婆さん』、『幸福のEメール』です。
これらも合わせて読むと、面白いですよ(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
I 車社会
見るんじゃねぇ!
私、どうなったの?
笑った首
消えた乗客
寝ていた乗客
首なしライダー
追いかける黒猫
ロールスロイス
五万円のソアラ
GNP
II 人体
ピアスの白い糸
人毛醤油
十年目のハゲ
目から芽
サーフィンは危険
目を探せ
足をつかむ手
海から手
追いかけてくる上半身
臓器が危ない
追突でチョン切れる
ロウソク病
フジツボキン
二メートルのソーセージ
風呂では寝るな
III 動物
イカは人を食う
ゴキブリを食べたら……
耳にゴキブリ
耳の中のくも
カミキリムシが髪を切る
黒ニキビかと思ったらダニ
噛みついた酒の肴
カラスの仕返し
猫の復讐
しゃべる猫
猫おばさん
猫で毒味
孫に祟【たた】る
おまえに食われた
人面犬
身代りに死ぬ
メダカを道連れ
キャットフード
言葉のわかる猫
猫は死に目を見せない
犬の死
死を知らせる黒い蝶
IV 家族
コインロッカー・ベビー
母の子殺し
父の背中
死の知らせ
V 外国・外国人
日本だるま
集団レイプ
ドイツ・イン・USA
解説・現代伝説を語ることばへ向けて
主要引用文献
関連文献