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介護職員処遇改善加算の統合、介護事業者の苦悩と介護職の期待は複雑

令和6年度を迎えるにあたり、介護業界は大きな転換点に立たされている。厚生労働省が発表した新たな制度改革により、介護職員の待遇改善を目指す加算制度が一新されることになった。これまでの「介護職員処遇改善加算」、「介護職員等特定処遇改善加算」、「介護職員等ベースアップ等支援加算」といった複数の加算が、「介護職員等処遇改善加算」として統合されるのである。この変更は、事業運営の柔軟性を高め、事務負担を軽減することを目的としているが、その実施には多くの課題が伴う。

特に、新制度の算定にあたっては、提出期限の厳格さや、要件の複雑さが事業者にとって大きな負担となりつつある。厚生労働省は、この制度改革を通じてわかりやすさと実現性を重視したと強調しているものの、実際には賃金体系の見直しやキャリアパスの設計など、継続的な努力が求められる状況だ。介護事業者は、介護報酬の改定や運営の変更による不確実性の中で、職員の定着と安心して働ける環境の提供に向けて、処遇改善加算を活用することの重要性に直面している。

このような状況の中で、介護事業者は厚生労働省の提供する動画、行政の窓口、介護労働安定センターなど、利用可能なあらゆるリソースを駆使して、新制度への対応を進めていく必要がある。介護職員の待遇改善は、単に経済的な問題に留まらず、社会全体の高齢化に伴う介護需要の増大に対応するための、根本的な解決策の一環として位置づけられるべきである。

介護職員の処遇改善は、彼らが直面する多くの課題に対する期待と希望の象徴であり、介護事業者の苦悩とは裏腹に、その実現に向けた期待は複雑に絡み合っている。新制度の導入は、介護業界にとって重要な一歩であるが、その成功は事業者と職員、そして政府の連携によってのみ達成される。社会全体が一丸となって介護職員の待遇改善に取り組むことが、これからの日本を支える高齢社会の質を決定づけることになるだろう。

「介護職員処遇改善加算」には、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)があり、(Ⅴ)に関して移行期間の経過措置として14種類が設けられており、それぞれ算定できるよう県が異なり、誤って算定してしまい後から返還を求められたりする理不尽な形式にも事業者は不安感が残るため、自治体等に頼ることになるが、自治体側としてもこれらのどれに該当するかや各要件を擦り合わせるとなると労力がかかり、介護の効率化からほど遠いことをして生産性を下げてしまっている状況はあまり変化がない。

ちなみに、未だに介護職員からはこの介護職員等処遇改善加算の職員への分配に不正があり自分の給料に反映されていないのではないかという声が絶えない状況です。上記の介護職員処遇改善加算の算定要件やその他の満たさなければいけない条件計画書や報告書が必要なことなどを鑑みると不正はかなり難しいと考えられます。仮に不正をしたとしても非常にばれやすく、こんなに計画や報告(証拠も残すこと)が必要なことを違う目的に着服するということはわざわざすることはないでしょう。もしお金が必要ならば事業者としては他の方法を取るでしょう。従業員向けの介護職員処遇改善加算の不正がないかについてはこちらの記事が分かりやすかったです。

その他2024年は介護報酬改定でいろいろなことが改定されているので以下の内容でご確認いただくと全体像をつかめるのではないかと思います。

令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

2024年介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数

令和6年度介護報酬改定では、4月に変更となる内容と、6月に変更になる内容があります。例えば、訪問介護費の場合、基本報酬部分は4月から、処遇改善加算等は6月から変更という2段階での変更が生じることがあります。詳細は各記事に添付している厚生労働省のサイトからご確認ください。

介護保険の居宅サービス介護給付費単位数の改定内容

施設サービス等介護給付費単位数の改定内容

介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容

2024年(令和6年)介護報酬改定で特徴的な加算・制度

利用者負担軽減の仕組みの改定

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