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有期労働契約を自動更新することはできるか


Q.有期労働契約の上限を教えて下さい。また、有期労働契約を都度更新することが面倒なため、お互いに異議がなければ自動更新するようにしてもいいですか?


A.有期労働契約の上限は、原則3年です。また、自動更新条項も有効です。


有期労働契約の上限は、上記の通り原則3年です。
3年の期間満了後に、再度有期労働契約を更新することは出来ますが、1契約で3年を超える期間を定めることはできません。


ただし、以下の場合は、3年を超える期間で契約を締結することが許されています。


  • 高度専門職(上限5年)

  • 満60歳以上の労働者(上限5年)

  • 橋梁の建設など一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(その期間)


高度専門職に当てはまる人材については、厚生労働省の告示で明確に定められていますので、ただ社内での仕事が一定の専門性を有する、などの事情があったとしても、認められません。


また、双方が契約満了までの一定期間内に更新をしない旨の意思表示をしない場合は自動更新とする、という旨の条項については、有効です。
確かに、使用者側も労働者側も更新に係る面談や書類記入などの手間が省けていいかもしれません。
ただ、その方法は必ずしも良いやり方とは言えません。
別の法律である、「労働契約法」の第19条の問題となる可能性があります。


(有期労働契約の更新等)
第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

労働契約法


通常、有期労働契約は各契約期間ごとに新たな契約が結びなおされるため、ある時に雇止めを行ったとしても、特段違法となるものではありません。

ですが、有期労働契約の期間の満了ごとに当然更新を重ねて、あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していた場合は、正社員を解雇するのと同様に、雇止めではなく「解雇」と同じように考えられる可能性があります。


紛争となった場合、有期労働契約の雇止めの場合とは異なり、解雇が有効かどうかということを厳しく評価されます。無効となった場合、従前と同一の契約が更新されたものとみなされてしまいます。


そのようなことの無いよう、契約の自動更新条項は入れるべきではないと私は考えています。




有期労働契約の契約・更新については専門家である社会保険労務士にご相談下さい。

大阪中央社会保険労務士事務所は、労働社会保険の専門家として、様々な契約や労働問題に対応可能です。

是非お気軽にご相談ください。



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