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#88: こんなときだから♪チャイコフスキー〜お菓子の国のウェディングケーキ「花のワルツ」

チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」より 「花のワルツ」(1892)

#85 -91のテーマは「憧れのジューンブライドー結婚と音楽」

バレエ音楽といえばチャイコフスキー。中でも「くるみ割り人形」の「花のワルツ」は,一度は耳にしたことがあるもっともポピュラーな曲といえるでしょう。
しかし,この「くるみ割り人形」。結婚という隠れたテーマがあることは知られていないかもしれません。

その鍵は,お菓子の国の女王である金平糖の精にあります。バレエ「くるみ割り人形」のお話は,クリスマス・イブの夜にくるみ割り人形をもらった少女クララが,王子様と一緒にお菓子の国へと旅をして,金平糖の精ととして迎えられるという夢を見るというもの(演出によって若干異なる)。クリスマスの定番として,毎年世界中で上演されています。

さて,この金平糖の精。金平糖という可愛らしいキラキラしたイメージはぴったりですが,実は,本来の名前はドラジェの精。ドラジェといえば,結婚式で配られる砂糖菓子ですね。ヨーロッパでは,出産、洗礼、婚礼などの慶事で配られるお菓子として知られています。今でこそ日本にもこの習慣が馴染んできましたが,「くるみ割り人形」が日本で初めて上演された昭和初期にはまだ知られておらず,砂糖菓子ということで「金平糖」と訳されてしまったわけなんです。

これによって,少女の憧れのとして描かれる「結婚」という面がそぎ落とされてしまったのが残念。しかも,金平糖のイメージがあまりにも強いため,今からドラジェっていってもなかなか時間がかかりそうですね……。なにはともあれ「くるみ割り人形」の第二幕に登場するお菓子の国の女王であるドラジェの精は女の子の幸せの象徴なのです。そして,この場面では,様々なお菓子が登場するのですが,そのクライマックスで登場するのが,本日お送りする「花のワルツ」。つまり花のような装飾が施されたウェディングケーキ,となるわけです。

「花のワルツ」は群舞で踊られますが,音楽もまさに豪華で幸せいっぱいのケーキのよう! 思わず「あま〜い!」と叫びたくなってしまいます(笑)

どうぞ,この甘く幸せな気分に浸ってお聴きください。

今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!

本日はジョージ・バランシン振付のニューヨーク・シティ・バレエのパフォーマンスをお楽しみください。


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