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#86: こんなときだから♪フランク〜友人に捧げた結婚祝いという難曲!?「ヴァイオリン・ソナタ」

フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 (1886)

#85 -91のテーマは「憧れのジューンブライドー結婚と音楽」

友人やお世話になった方など,親しい方が結婚する時,自分の手作りの物をプレゼントできる才能があればどんなによかったか! と思うことしばしば。
特に,本日お送りするセザール・フランク(1822-1890)「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」を聴き,この作品にまつわるエピソードを知った時,強く感じました。

ヴァイオリニストにとって重要なレパートリーの一つであるこの作品は,フランクと同郷ベルギーの後輩にあたる音楽家,偉大なヴァイオリニストであるウジェーヌ・イザイ(1858-1931)の結婚のお祝いのために作曲,献呈されました。

フランクの作品は,ちょっとだけ専門的な話になりますが,循環形式と呼ばれる全楽章に一貫するテーマ(通常は楽章ごとに異なったテーマで作曲される)で作曲する手法を用いることでも知られています。一つのテーマが長調や短調など姿形を変えながらも変わらず登場する作風に,まるで一人の一生を描いたような,そんな「人生観」のようなものが感じられて,変奏曲と同様,とても好きな手法です。

また,この曲,ヴァイオリンもピアノも超絶難しい! 夫婦生活,そんなに甘いもんじゃないぞ! という先輩風を吹かせているのでしょうか。もちろん,歴史に名を残す名ヴァイオリニストのイザイには技巧的には難なくこなせたと思いますが,演奏のやりがいのある名曲をプレゼントされて喜びも一入だったと思います。

そして,もちろんイザイの初演によって披露されたわけですけれども,その後多くの人々を惹きつけることになり「私も演奏したい!」という他の楽器の演奏家が続出! チェロ,フルート,ピアノパートのオーケストラへの編曲など,数多くの編曲が誕生しました。

本日は全4楽章のなかから,フィナーレにあたる第4楽章のみをお送りしますが,時間が許す時は,ぜひ全楽章通してお聞きください。

今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!


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