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さよならドビュッシー(著 中山七里)

難易度33(下記)で読了

私は中山七里作品について、本作のデビュー作を差し置いて御子柴シリーズを先に読んでいました。本作を読んで今まで読んでなかったことを後悔するぐらいの面白さでした。本作は『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しているだけあって読み応え十分のミステリー作品となっています。
作品の序盤における明るい雰囲気から事件を境に一転してドロドロとした展開になりそのコントラストが序盤の見所です。また本筋からは外れますが、作中にでてくるホロヴィッツの演奏は一見の価値があると思いました。
以下、ネタバレにならないように極力ボカして書きますが、鋭い人に対してはネタバレになりかねないので、ここで読み進めるかご判断くださいませ。


物語序盤に事件を推理する重要人物が登場します。この人のセリフに注目して読み進めると、犯人およびその仕掛けがわかるかもしれません。因みに、私は種明しされるまでわかりませんでした。
繰り返しになりますが、当人物が謎を解くヒントとしてあるセリフを言います。個人的にはそのセリフは本作の主題だと感じました。物語後半にはそのセリフが再三発っせられ、作者が本作で強調したいテーマのようにさえ感じました。
犯人および仕掛けが披露された時には、筒井先生のロートレック荘事件で面喰ったのと同じような印象を受けました。それぐらい自分には当初意外な結末でした。ただ、その結末は序盤のフラグの回収や登場人物の関係性で納得できるものとなり、読了後には残された課題と共に恍惚感に浸れました。

- 憤懣(ふんまん)
- 怒りが発散できずいらいらすること。腹が立ってどうにもがまんできない気持ち。
- 行住座臥(ぎょうじゅうざが)
- 日常の立ち居振る舞いのこと。転じて、ふだん・常々の意。
- 艱難辛苦(かんなんしんく)
- 非常な困難にあって苦しみ悩むこと。
- 燎原(りょうげん)
- 野原を焼くこと。また、火の燃えひろがった野原。
- ペンタソジン
- オピオイド鎮痛薬(非麻薬)
- フェンタニル
- 主に麻酔や鎮痛、疼痛緩和の目的で利用される合成オピオイド
- がん疼痛治療法の3段階中の3段階目で用いられる強オピオイド
- 麻薬及び向精神薬取締法における麻薬に指定されている
- 児孫に美田を買わず
- 生活が楽だと自堕落になりがちだから、
子孫のためにはむやみに財産を遺すべきではない、ということ。
- マゼッパ(リスト超絶技巧練習曲第4番)
- ピョートル・チャイコフスキーが作曲した、全3幕(6場)から成るオペラ
- 演奏の基本要素
- リズム、音、スタイル
- 切歯扼腕(せっしやくわん)
- はなはだしく怒り、非常にくやしく思うことの形容。
- ホロヴィッツ
- ウクライナ生まれのアメリカのピアニスト
- 矮小(わいしょう)
- 丈が低く形の小さいこと。転じて、こぢんまりしていること
- 玉石混交(ぎょくせき-こんこう)
- すぐれたものと劣ったものが区別なく入り混じっていることのたとえ。
宝玉と石ころが混じり合っている意から。
- ドビュッシー
- フランスの作曲家。代表作は月の光
- アラベスク
- モスクの壁面装飾に通常見られるイスラム美術の一様式で、
幾何学的文様(しばしば植物や動物の形をもととする)を反復して作られている。
- 不埒(ふらち)
- 道理にはずれていて、けしからぬこと。
- 糊口(ここう)
- ほそぼそと暮らしを立てること。生計。
- 秋霜烈日(しゅうそう-れつじつ)
- 刑罰・権威・節操・意志などが厳しく、また、厳かなことのたとえ。
秋の厳しく冷たい霜と夏の強い日差しの意から。
- チェシャ猫
- 『不思議の国のアリス』(1865年)に登場する架空の猫
- 二律背反(にりつはいはん)
- 二つの法則が現実的にであれ見かけ上であれ相互に両立しないことを意味する
- 舌鼓(「したつづみ」「ぜっこ」)
- おいしさを表す音や気持ち
- 燻陶(くんとう)
- 徳の力で人を感化し、教育すること。
- 雲散霧消(うんさん-むしょう)
- 雲が散り霧が消え去るように、あとかたもなく消えてなくなること。
- 急峻(きゅうしゅん)
- 傾斜が急で険しいこと
- スタインウェイ
- 1853年にアメリカ合衆国ニューヨークでドイツ人ピアノ製作者ハインリッヒ・エンゲル
ハルト・シュタインヴェーク(後のヘンリー・E・スタインウェイ)によって設立された
ピアノ製造会社
- 残滓(ざんし)
- 残りかすや何かが取り除かれた後に残るもの
- 容器などの底に残っているかす
- 唐変木(とうへんぼく)
- 気のきかない人物、物分かりの悪い人物をののしっていう語。
- 陥穽(かんせい)
- 動物などを落ち込ませる、おとしあな。
- 人をおとしいれる策略。わな。
- 焦燥(しょうそう)
- いらいらすること。あせること。
- 傲岸(ごうがん)
- おごり高ぶって、いばっていること。
- 大森望
- SFを中心として活動する、日本の翻訳家、書評家、評論家、アンソロジスト。
- 島田荘司
- 中山七里が憧れてた作家
- 日本の小説家、推理作家。ロサンゼルスと吉祥寺に居を構えていたが、
現在は日本にほぼ在住している。
- おやすみラフマニノフ
- 中山七里による日本の小説。 岬洋介シリーズ第2弾。

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