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「マニアはすごい」「マニアは楽しい」の理由と自分が読んだ小説の感想と学びをただひたすら…

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「マニアはすごい」「マニアは楽しい」の理由と自分が読んだ小説の感想と学びをただひたすら書いていきます。

マガジン

  • メフィスト賞受賞作家さんの作品に学ぶ

    メフィスト賞受賞作家さんの作品を読むたびに、感想と学びの言葉を綴っていきます。

  • マニアになって楽しく生きる。(格言集)

    マニアの凄さ、楽しさといった特徴の格言をまとめています。「マニアとは」から始まり、マニアのすごさ、楽しさ、マニアになるためには、マニアの品格といった感じで、増やしていきます。

最近の記事

「十戒」を読んで(一風変わった設定のミステリーを読みたい人にお薦め)

つくづく色々なミステリーがあるなあと思った。この前に読んだ死んだ被害者と会話できるという設定の「真夜中法律事務所」も面白かったが、この小説の「犯人探しをしてはいけない」という設定も斬新だった。 ある島の所有者が事故で死亡した。その故人はその島に宿泊施設を建設する計画を立てていた。その計画を引き継ぐため、遺族と計画関係者の計9人が島に視察に行く。その島と行き来する定期船はなく、事前に依頼しないと誰も迎えに来ない。そんな孤島で殺人事件が発生する。こんな本格ミステリーっぽい雰囲気

    • 真夜中法律事務所を読んで(ちょっと変わったミステリーを読みたい人にお薦め)

      死者(地縛霊)が見え会話できる検察官と弁護士が、その地縛霊が死んだ真相を、地縛霊とともに暴く物語である。 探偵役が被害者の死者と普通に交流できるミステリーを読んだのは今回で2冊目である。1冊目は、死者である被害者は、犯人を認知できない状態で殺されたために、犯人が誰かわからないという設定であった。 今回のこの本は、死者は死んだ時の記憶は覚えていないという設定にすることで、犯人がすぐにわからないようにしていた。 この設定だけを聞くと、ご都合主義すぎると感じるかもしれない。し

      • 「時を壊した彼女 7月7日は7度ある」を読んで(面白かったおすすめです)

        事故で死んでしまった友人を助けるため、過去の自分に現在の記憶を上書きできる装置を使って、7月7日を繰り返す物語。  この小説は、本当に面白かった。そして本当によくできたミステリー小説だった。   基本となる登場人物は7人だが、一度に過去の自分に上書きできる人数が最大4人と限られていることや過去の自分に記憶を上書きできる回数も一人あたり最大7回といった設定もすばらしかった。  繰り返した7月7日の各結果とその時の登場人物の行動やその動機を吟味することで、謎が明かされる。繰

        • 「密室方典」を読んで(気軽にタイパなミステリー小説を読みたい人にお薦め)

          法廷遊戯の続きとなる短編小説 登場人物は前回と同じで、法科大学の院生と個性豊かな女子大学生2人による法律の解釈を軸としたミステリー小説。 前作に引き続き、美容整形、コンカフェ、SNSでの身バレ、DNA鑑定、ジェンダーレスといった、今の時代の社会現象をテーマにしている。 短い物語を無駄なく描かれているので、少しでも内容に触れると気づかずネタバレしてしまう気がするので、多くの文章は書きません。 ひとつひとつの物語が、現実の生活でも十分起こりうる内容となっており、自分ごとの

        「十戒」を読んで(一風変わった設定のミステリーを読みたい人にお薦め)

        • 真夜中法律事務所を読んで(ちょっと変わったミステリーを読みたい人にお薦め)

        • 「時を壊した彼女 7月7日は7度ある」を読んで(面白かったおすすめです)

        • 「密室方典」を読んで(気軽にタイパなミステリー小説を読みたい人にお薦め)

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        • メフィスト賞受賞作家さんの作品に学ぶ
          41本
        • マニアになって楽しく生きる。(格言集)
          15本

        記事

          「ナナフシの恋」を読んで

          病院で昏睡中の女子高生から、学校に呼び出しのメールが届いた6人の高校生の物語。 昏睡中の女子高生は、あたりまえだが、メールを送れない。社交的ではなく友達も少なかった女子高生。誰もいない学校に集まった6人の高校生。なぜこの6人が選ばれたのか、この6人にはどのような接点があるのか。 と、こんな感じで、ミステリー小説風に始まります。しかし、この小説は、ミステリー小説というよりは、苦悩を抱えた高校生達の青春小説でした。 謎解きや犯人探しもありますが、好きになった人、惹かれた人に

          「ナナフシの恋」を読んで

          「わたしの結び目」を読んで(嘘について考えさしてくれる本)

          嘘って何だろう?嘘は一律悪いことなのか?嘘も必要では!と思った本です 女子中学生二人の物語。周りの人を幸せにすることを自分の使命としている転校生と、家族と友達の問題で不安と不信になって友達の作り方に少し癖がある孤独な女の子 この二人が友達になる過程を、二人の視点が切り替わりながら進行する物語 転校生の女の子が、クラスのグループやスクールカーストを観察し、どう振る舞っていくべきかを思案しているとき、孤独な女の子に声をかけられ仲良くなる 転校生の女の子は、この孤独な女の子

          「わたしの結び目」を読んで(嘘について考えさしてくれる本)

          「無事に返してほしければ」を読んで  (”子どもだから”という偏見を見直すのに役立つかも)

           この物語は3部構成で描かれている。最初の1部と2部と最後の3部は、物語としては繋がっているが、まるで違う作品のように感じた。    1部で事件が起き、2部と3部で解決するという構成になっている。登場人物は、夫婦と長女と死亡扱いとなっている弟の長男である。物語は、2年前に川で行方不明になり死亡扱いとなっている長男を誘拐したという電話がかかってきたところから始まる。そして、その事件のさなか、さらに姉も行方不明になる。2部は、姉の行方不明に関する事件の解決が描かれ、3部では、残り

          「無事に返してほしければ」を読んで  (”子どもだから”という偏見を見直すのに役立つかも)

          13 マニアの追求は、迷惑にもなるし、社会貢献にもなる

           マニアは自分の好き追及する。そして追及の結果、迷惑な場合もあるが社会貢献する場合もある。鉄道マニアが私有地に不法侵入して写真を撮っていたとか、社員のふりをして乗務員室に入ったとかといったニュースを見た。一方で、描くことが好きな鉄道マニア、いわゆる”描き鉄”の人が東日本大震災で被害を被った三陸鉄道の復興イベントに駅名標の挿絵や記念スタンプ、電車の外装デザインに取組、社会貢献しているという記事も見た。このように、自己欲求で他人に迷惑をかける人、自己欲求を他者への貢献という形で実

          13 マニアの追求は、迷惑にもなるし、社会貢献にもなる

          上木らいちシリーズを読んで(一風変わった探偵を知りたい人にお薦めかも)

          こんな探偵の小説があるのかと思った。それに尽きる作品でした。素直に面白かった。探偵小説好きには一読の価値があると思います。援助交際を生業としている女子高校生が探偵の小説。援助交際が生業だからこその斬新な切り口で謎を解明していくことが面白く感動しました。だからといって、適当ではなく説得される論理性がさらに良かった。 パイアグラを飲むタイミング、男性のズボンのジッパーの開け方を軸にした推理、性行為をネタにしたアリバイトリック、Mの性癖があることを前提とした行動予測。援助交際の相

          上木らいちシリーズを読んで(一風変わった探偵を知りたい人にお薦めかも)

          『ギロチン城』殺人事件を読んで(ギロチンのことを少し知りたい方は、読む価値あるかも)

          ギロチン城と呼ばれる、ギロチンをはじめとする処刑道具が集められた城のような館のなかで、人を斬首し続けるロシア人形の逸話と降霊術や都市伝説として伝えられる”スクエア”という儀式を題材にしたミステリー小説です。最後に、ギロチン城はなぜギロチン城かわかるようにもなっています。 スクエアとは、真っ暗にした正方形または長方形の部屋の4角に4人が立つ。ある角の一人が対角線ではない違う角に向かってまっすぐ歩き、その角にたっている人の背をたたく。叩かれた人は、違う角へ向かって歩き、その角に

          『ギロチン城』殺人事件を読んで(ギロチンのことを少し知りたい方は、読む価値あるかも)

          「密室ロジック」を読んで(論理的な解明が好きな人向け)

          殺人事件が起きます。 論理のみで犯人を推理します。 犯人がAの場合、犯人がBの場合、もしくは犯人がAとBの共同の場合等、犯人となるパターンを列挙し、一つずつ犯行が加納であるかを論理的に検証します。動機の推測はありません。物的証拠の探索もありません。ただ論理的の検証した結果、犯人となる可能性は誰某だと帰結して、この本は終わります。本当に論理パズルの解き方を説明するような小説です。 例えば、ある登場人物Xが犯人の場合には、逃走ルートの可能性はABCの3通りあります。Aルートの

          「密室ロジック」を読んで(論理的な解明が好きな人向け)

          「スロウハイツの神様」と「V .T .R .」を読んで(創作に興味ある方にお勧めかな)

          「スロウハイツの神様」は、既に成功している映画脚本家と小説家、そして児童漫画家や画家等をめざすクリエイターの男女が棲むアパート(スロウハイツ)での物語。及びその小説家のデビュー作品。 本編でも言及されるが現代版トキワ荘をイメージしている感じがしました。小説家が手塚治虫で、売れない漫画家を世話する石ノ森章太郎が脚本家、そして、児童漫画家は、暴力的な漫画に悲観していたテラさんこと寺田ヒロオさんかなと思いました。 クリエイターとしての成功者、非成功者の苦悩、クリエイターにならな

          「スロウハイツの神様」と「V .T .R .」を読んで(創作に興味ある方にお勧めかな)

          「六法推理」を読んで(単純に面白い本を読みたい人にお薦め)

          面白かった。単純に続きが読みたいと思った。法律に詳しい学生が、サークル活動として、無料法律相談を行っており、相談してくる学生を法律知識で助けていく物語。 主人公は、司法試験にパスしていないが、法律の知識が豊富かつ論理力に長けている。しかし、人の行動原理を推理するのが苦手。また、周りにあまり心を開かないという設定。 ヒロインの女の子は、前向きで他人の行動原理を推理するのが得意。そして、他人の心(主人公にだけかも)にずかずかと入っていく性格という設定。 この二人が、それぞれ

          「六法推理」を読んで(単純に面白い本を読みたい人にお薦め)

          「サーカスから来た執達吏」を読んで

           面白かった。時代は大正時代、サーカス出身の借金取り(執達吏)の少女と借金の担保として執達吏に預けられた少女の二人が、借金返済のために、ある華族の財宝探しをする物語  大量の財宝が数時間で消失する不可解な現象、その際に起きた殺人事件、財宝の場所を示す暗号といった謎を解いていく物語ではあるが、結局のところ、借金の担保として預けられた女の子の成長の物語であった。    借金取りの女の子は、家族はいない、字が読めないが頭が良く行動力もありマイペース、良くも悪くも非常識という性格。

          「サーカスから来た執達吏」を読んで

          各務原氏の逆説シリーズ2冊を読んで

           とある高校のとある事件について、生徒が用務員さんに相談しながら解決していく物語  用務員さんは、経歴不詳・年齢不詳ではあるが知識があり頭もよく、生徒の相談もよく受けるという設定になっている。    事件を解決したい生徒が用務員さんに相談するという形で、アリバイや証拠・証言を用務員さんに提供し、用務員さんがその謎を解くという安楽椅子探偵風小説である。  安楽椅子探偵”風”としたのは、この用務員さん、あらゆる可能性を列挙し、論理的に推理していくのだが、一部推理も外せば、魅せ

          各務原氏の逆説シリーズ2冊を読んで

          魔女の原罪を読んで(道徳の勉強に)

          この本は、 ”法律違反以外は自由”という校則の高校。特定の人物に対する無視は、”話をしないという個人の自由選択の範囲内”であり、法律違反ではないため、校則違反ではない。そのため、全生徒が特定の人物を無視している事実を学校側が認識しても、何も対応しない。そんな学校で、校長先生が盗難事件があったと発表する。盗難事件を起こした生徒に対して、全校生徒が、”話をしない”という選択を実行する。主人公の青年は、そんな学校に違和感を抱き、その生徒を助けるべく、盗難事件の全容把握に努め、無視

          魔女の原罪を読んで(道徳の勉強に)