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「わたしの結び目」を読んで(嘘について考えさしてくれる本)

嘘って何だろう?嘘は一律悪いことなのか?嘘も必要では!と思った本です

女子中学生二人の物語。周りの人を幸せにすることを自分の使命としている転校生と、家族と友達の問題で不安と不信になって友達の作り方に少し癖がある孤独な女の子

この二人が友達になる過程を、二人の視点が切り替わりながら進行する物語

転校生の女の子が、クラスのグループやスクールカーストを観察し、どう振る舞っていくべきかを思案しているとき、孤独な女の子に声をかけられ仲良くなる

転校生の女の子は、この孤独な女の子に接するうちに、彼女には自分が必要と考える

孤独な女の子は、転校生を自分と親友になるべき人物と決めつけ、親友であることを確認するための行動や言動を続けていく

転校生の孤独な女の子に対する接し方の変化と付き合うことへの覚悟に関する描写が、個人的には読み応えがありました

そして、この本は、様々な嘘がでてきます

悪意を持って貶めるための言葉だけではなく、誰か(自分も含む)や何かのためを思って、ただ真実と違う内容を語るという意味での嘘が描かれています

・知り合うきっかけとするため、嘘の話題で話かける
・いじめの対象とするためにデマを流す
・偶然を装って、人のためになる行動をする
・自分を正当化するため、何かと理由をつける
・形だけの行動で、自分はよくやっていると周りにPRする 等々

「空気を読んで周りと合わせる行動」「自分を隠す謙遜」「相手をほめるお世辞」「できていない自分を認めないためのごまかし」「相手を傷つけないための知らないふり」これらすべて嘘と考えれば、世の中嘘だらけです

この本は、このような様々な嘘について、考えせてくれる本でした

そのほか、この本には、いじめがはじまり、それがエスカレートしていく様が描かれています。いじめは、ささいな誤解やちょっとした勘違いからも発展する場合があるという一つの真理を提示しているとも思いました

嘘とは?を改めて考えさせてくれたすばらしい本でした。良くも悪くも、自分や他人に嘘をつかない日は無いと感じました

嘘について興味がある方には、一読の価値があると思います

4/30 読了 タイトル:わたしの結び目 作者:真下みこと 出版社:幻冬社



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