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各務原氏の逆説シリーズ2冊を読んで

 とある高校のとある事件について、生徒が用務員さんに相談しながら解決していく物語

 用務員さんは、経歴不詳・年齢不詳ではあるが知識があり頭もよく、生徒の相談もよく受けるという設定になっている。
 
 事件を解決したい生徒が用務員さんに相談するという形で、アリバイや証拠・証言を用務員さんに提供し、用務員さんがその謎を解くという安楽椅子探偵風小説である。

 安楽椅子探偵”風”としたのは、この用務員さん、あらゆる可能性を列挙し、論理的に推理していくのだが、一部推理も外せば、魅せる謎解きがあるわけではない。

 探偵役が万能ではなく、登場人物全員が凡人レベルであった。まだまだ、いろいろな小説があるなあ、探偵=優秀と思い込んでいた自分を改めようと思いました。

 正直、推理小説としては微妙と思った作品ですが、主人公となる高校生の心の描写に重きを置いている感じでもあり、殺人事件を舞台にしたジュニア層向けのライトな学園小説かなと感じました。            

 ちなみに、この作者のミステリー小説(氷川透シリーズ)は、起きた現象に対する可能性を全て列挙したうえ、証拠・証言にもとづき論理的に思考し、可能性が無いものや矛盾があるものを排除していき、最後に残ったものが回答という方法で謎を解いていくスタイルであり、その論理的な展開や思考が非常面白い作者である。

9/30読了 作者:氷川透 レーベル:トクマノベルズ 
タイトル:各務原氏の逆説
     見えない人影―各務原氏の逆説