見出し画像

『ギロチン城』殺人事件を読んで(ギロチンのことを少し知りたい方は、読む価値あるかも)

ギロチン城と呼ばれる、ギロチンをはじめとする処刑道具が集められた城のような館のなかで、人を斬首し続けるロシア人形の逸話と降霊術や都市伝説として伝えられる”スクエア”という儀式を題材にしたミステリー小説です。最後に、ギロチン城はなぜギロチン城かわかるようにもなっています。

スクエアとは、真っ暗にした正方形または長方形の部屋の4角に4人が立つ。ある角の一人が対角線ではない違う角に向かってまっすぐ歩き、その角にたっている人の背をたたく。叩かれた人は、違う角へ向かって歩き、その角に立っている人をたたく。それをくり返す。これを続けるためには、5人必要であるが、なぜか4人で成立してしまう。その成立してしまった原因は、5人目が降霊した結果なのか何かのトリックによるものなのかといった感じのものです。

正直、面白いかと問われると返事に悩んでしまう小説でした。
スクエアと人斬り人形に関連して発生した事件の謎を解くことに終始した作品となっており、個性的なキャラクターも多くでてきますが、個々の描写も少なく、キャラの魅力を感じるにはページ数が足りないと感じました。
それ以外にも、この建物の敷地では携帯電話の電波が届かないなか、唯一の出入り口を誰かに封じられるという絶海の孤島をつくるお決まりの設定となっており、「またか」と感じると思います。

それでも、ギロチンの歴史に関する講釈パートや最後の絶海の孤島である城からの脱出方法は、個人的に面白いと感じた部分であり、読んでよかったと思いました。

僕は、不可解な出来事が解明されていく展開が好きなので、その状況に必要となる、ある程度お決まりの強引でご都合主義的な設定は、「そうゆうものだ」とわりきって、許容し作品を楽しむことにしています。

 余談ですが、この建物の扉の開閉手段は、生体認証であり、指紋、声紋、静脈、虹彩の4種類の認証登録が可能なシステムとなっていた。僕は、黒目の内側に位置する部分の”虹彩”というものが知らなかったので勉強になりました。2005年の本なので、今なら顔が生体認証登録の一つとなっていたのかなとも思いました。

本格的なミステリーとギロチンに興味がある方は、読んでみても良いかもと思います。

作者:北山猛邦 出版:講談社 タイトル:『ギロチン城』殺人事件
12/10読了

この記事が参加している募集

読書感想文