一度きりの人生なんだってね。
五月末から苦しんできた原因不明の腹痛の、検査結果がでた。
過去のものを読んでいない方はこちらをどうぞ。
まあね、とにかくつらかったわけです。腹痛で汗がだらだら流れて脱水症状になりかけるわ、救急外来で何時間も待たされるわ、点滴と採血を1週間に3回もやらされるわ、消化器内科には「最悪の場合大腸全摘します」とか言われるわ、上からも下からもカメラをぶちこまれるわ。
からだの一部分の調子がよくないだけで、こんなにもひとはつかれるんだなあと思いました。そのおかげで、6月はすっかり精神が憔悴しきってしまって。食べれないしんどさから、体重がどんどんおちてしまった。体重が36キロを切ったとき、じぶんの体を全身鏡でみて、あまりの貧相さに泣いた。ほんとうに骨と皮だった。顔の肉が削げ落ち、肩が尖っていて、腰骨も背骨も浮き出ていた。痩せているとかじゃなくて、じぶんのからだがあまりにもかわいそうだと、肩を抱いて、うずくまって、ぽろぽろ泣いた。
それでね。
話に戻るんですけど、6月27日、病院にいって検査の結果を聞きにいきました。ひとりでこの病院に行くのはばあちゃんの入院のときぐらいだったので、やけに緊張した。いつも通り受付して、混み合った待合室の、患者のひとりになる。そのころには、妙な不安はなくなっていて。
30分ほど待って、診察室に呼ばれた。「大腸全摘するかも」とわたしに言い放った医者が待っていた。初診のときみたいに足をだらりと伸ばさず、背筋をぴんとはって、にこやかに迎えてくれた。
「小林さん、お待たせしました。検査おつかれさまでした」
こんなふうにやわらかく笑うひとだったんだ。それだけですこし、ほっとした。
「これ、内視鏡検査の写真ね。まず胃はとってもきれいでしたよ。すこーし胃が変形していたけどね」
パソコンの画面にじぶんの臓器の写真が映し出される。ぐ、ぐろい。きれいかどうかは定かではないが、とにかく通り道にはなにもないみたいだった。
「で、これが大腸の写真。いくつかぽこぽこしたものがあるのわかる?これね、リンパ節なんだけど、ところどころ腫れてるのね。でも、顕微鏡で検査したら全部良性だったから、心配ないよ、よかったね」
そう、主治医が言ってくれた時、ほんとうに泣きそうで。大したことないと自分で言い聞かせていても、どこかで大きな病気だったらどうしよう、もとのようにうごけなかったらどうしようって考えるたびに涙が出ていた。さすがに診察室では泣かなかったんだけど、看護師さんもしきりに検査がんばってよかったね、大丈夫だねって、言ってくれて。ああ、わたし生かされているなって思った。ほっとしすぎて原因とか対策とか聞くの忘れた、これは凡ミス。
最後、診察室から出た時に「小林さん、くれぐれもストレス溜めないようにね」と言ってくれた。そうだよな。ストレス溜めてもなんもいいことないもん。わたし、せっかく一度きりの人生生きるんだから、ストレス無くしていきてみたいよ。
そのためにひつようなものは、できるかぎり揃えておこうと思う。
**
というわけで、胃潰瘍の心配も潰瘍性大腸炎の心配もありませんでした。ぶじがなにより。まあ、しいていうなら検査代と診察代がばかにならなかったことだけが残念。もう、大きい病院はこりごりだよ。
サポートの意味があまりわかっていませんが、もしサポートしていただいたら、詩集をだすためにつかったり、写真のフィルム代にとんでゆきます。