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【りんごきんとん】 さつまいもの懐の深さと「2位じゃダメなんですか」を考える梅雨入り初日。


連想ゲーム 「りんご」といえば?


美空ひばり
青森県
スティーブ・ジョブズ
白雪姫
値段が高い
(*浮かんだ順)

「イケてますか?」


きんとんと言えば栗。
黄金色に染まった栗きんとんは、いかにも縁起がよさそう。おせち料理の甘味担当として君臨している。

栗きんとんの由来 「金団」は金の団子もしくは金の布団という意味で、さつま芋と栗によるきれいな黄色から黄金に見立てられ、財産や富、金運を得る縁起物とされています。 一年の豊かさと勝負運の向上を願い、おせち料理の定番となっています。

『大丸松坂屋オンライン』より


ある時、きんとんにりんごを入れると知ってびっくり。栗よりむしろ好きかも?との記憶を残し、数回作ってそれきりになった。

昨年冬以来、急にりんごきんとんの存在を思い出して作ってみたら驚くほどはまった。

さつまいもとりんごの品種を変え、量を変え、砂糖の量を増減し、はちみつを入れ、水の量を変え、それはそれは作り続けた。

この料理のよさは、なんといってもフレキシブル。甘味はさつまいもがなんとかしてくれるが、これがいい感じなのである。
砂糖の量は必要最低量で、もっと甘味が欲しい方は倍量以上でも大丈夫だと思う。
要するに、材料がシンプルだから柔軟性が高いのである。

仕上がりについても、しっとりなめらかが好みの方は、もっとつぶしてなめらか工夫をすればいいし、ゴツゴツタイプが好きな人(わたし)は、写真のようにガッツリ感を出せばよい。

りんごの切り方は、薄切りでさつまいもとの一体感を求めてもよし。質感を出すために大振りに切ってもよい。

すべては、さつまいもが受け止めてくれるのだ。
さつまいもがメインの料理だと認識している。


りんごきんとん

【材料】
りんご     1個 
さつまいも   440g(可食部)
上白糖     15g(大さじ1.5)
はちみつ    21g(大さじ1)
水       100g

【作り方】
1.さつまいもは皮をむき、1cm厚さでスライスする。水洗いしてでんぷんを洗い流す。

2.りんごは8等分して皮と芯を取る。
1cm厚さでスライスする。

3.厚手の鍋に1を入れ、上から2と水を入れて中火にかける。

4.沸騰したら上白糖とはちみつを入れ、ふたをして弱火で20分煮る。途中で上下を入れ替える。

5.汁気が減ったら、粗く潰して火を止める。

6.キッチンペーパーを置いてからふたをして、20分蒸らす。

7.水分が多ければ再加熱する。

8.冷ましてから保存容器へ移す。

今日のさつまいもは「紅はるか」りんごは「ふじ」
おすすめ「シルクスイート」は、なめらかで別格。
はちみつは入れなくてもOK。
砂糖で加減できます。
半月切りに。大きくても火は通ります。
さつまいもの元の色はこんな感じ。
洗ってでんぷんを洗い流して水分を切ります。
水に漬けたり、拭き取る必要なし。
りんごは8等分して皮と芯を取り、
1cm幅にザクザク切ります。
(皮の効能実験のため捨てませんでした)
鍋の中(厚手が望ましい)
①さつまいも ②りんご ③水の順に入れます。
点火して中火をキープ。
沸騰したら砂糖とはちみつin
入れてからの火加減は、ふたをして弱火で約20分
5分炊きました。
上下をひっくり返しました。
りんごから水分が出てきます。
さらに5分炊きました。
もし途中で鍋底からチリチリ音がしたら焦げる前兆
水を50gほど追加してください。
加熱完了。さつまいもを大きくつぶします。
火の通り具合をチェック。
今回はトータル約15分強の加熱でOKでした。
多少水分が残っていても吸収されるので様子見。
キッチンペーパーを置いてからふたをして、
20分間じっくり蒸らします。
(手入れをしない銅鍋の汚いふた使用……)
①ふた裏からの水滴落下吸収②内部からの蒸気吸収
20分蒸らし後、完成。
最初のさつまいもと比べて黄色いです。
底に水分が残り過ぎていたら、追加加熱します。
必ず食べてチェックしてください。
結論:皮は不要です。




ここからは長い蛇足。

謎①
「栗きんとん」
ベースがさつまいもなのに、なぜ「きんとん栗」ではないのか?

謎②
「ぶり大根」
ぶりの旨みを存分に吸った柔らかい大根を楽しむ料理だ。重量比率は大根に重きを置く。
なのに、なぜ「大根ぶり」ではないのか?


頭をよぎったのは、東京都知事選に出馬した議員の有名なエピソード。


大騒ぎになったが、結局「京」の財源縮減は回避された。「2位じゃダメなんですか?」
そこを突いた視点は、実は盲点であった。

「『大根ぶり』じゃダメなんですか?」
なんて野暮なことは、誰もいわない。

言われる前からすでに「ぶり大根」長年やっとる。
言われる前に、大根の名は添え物にしとるわ。
アクセント(ぶり、りんご)が愛でられるのは、人間界では頻繁にある現象だといえる。
それでいいのか?アサーティブは何処へ?

控えめな自己主張といえば、さつまいもの鮮やかな黄色と大根の艶やかな茶色であろう。
「料理への貢献」が泣かせる。

しかし、解決策はある。修飾していただこう。
間に「の」をはさむと、
「栗きんとん」「ぶり大根」
聞き慣れた日本語だ。
簡単に印象は変わる。主役奪回。
なぜ省略したのか?まあ、いい。

あっ、やっちゃってる。
この理屈なら、わたしが伝えたかったのは、
嗚呼!ごめん。
正解は「肉じゃがのトマト」だった。……ん?
伝えきれないもどかしさ。



「りんごきんとん」でいいのね。そのままで。
誰に聞いているのかわからなくなる。
(この1人論争については改めて考えたい)

箸休めになどさせるものか。
おいし過ぎて毎日が箸進め。ありがとう♪

さつまいもの懐の深さと、どこまでも謙虚な姿勢を思い、雨音を聞きながら混迷をきたしてふたたび泣く。




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