見出し画像

働きたくない!と思い続けていた私が病気をもち、就労支援の仕事を始めた。

私は元々、「なるべく働きたくない!」と思っていました。何事にも面倒くさがりで、やる気を出すことが苦手だったし、些細なことでも「責任を持つ」ということが怖かったから。
学生の頃も、「ずっと学生でいたいな」と思っていたし、社会人になってからも、「積極的に働きたくないな」とか「なるべく楽な仕事をしてサクッと帰りたいな」なんて思っていました。


そもそも、働くって何だろう。

ずっとそんな風に思っていた私が、ある日突然、治る見込みのない病気をもちました。
さあ、仕事はどうしよう。体も怠くて大変だし、出来ないことが増えてしまったし、余計に働きたくない。でも、お金がないと治療を受けられないし、生活できないし、やっぱり働かなきゃ。

焦って、悩んで、頑張って、ちょっと気持ちが落ち着いてきた頃、「そもそも、私にとって、働くって何なんだろう」と考え始めました。

病気をもつまでは、働くこと=生活するためのお金を稼ぐことでしかなかった。楽しいとか、やりがいとかよりも、そう考えていました。
楽しい気持ちは仕事に求めずに、仕事を頑張った対価で、趣味とか仕事以外のことを充実させたい。ただそれだけだ、と。


病気+働く=しんどいだけ?

「1日の時間のほとんどを労働に使う」ということが、今まで当たり前のことだと思っていました。
でも、病気をもって、使える体力が限られるようになり、仕事で体力を使い果たして休日さえも楽しめなくなってきたときに、だんだん「せっかくの限られた体力を使うなら、仕事の時間を、より楽しく充実した時間にしたい」「労働時間も休日も、楽しく過ごしたい」と思うようになりました。

働きたくないなんて思っていても、やっぱり生きていくためには働かなければいけないし。その働かなければ「いけない」という考え方を、もっと前向きにしてみたくなったのです。

しかし、病気をもちながら働くってしんどいし、どうしても大変なことが多いです。体調が悪い時に「それでも頑張らなきゃ」「ちゃんと稼がなきゃ」と思うと、もうどんどんどんどん、しんどい。そうなると、もうやりがいや楽しさなんて二の次になってしまうのです。

そもそも、病気になる前と同じようにやろうだなんて難しいんだ。それって、私にとっては只々「無理をする」ということでしかない。毎日ずっと無理をしてたら、いくら好きな仕事だとしても、辛くなってしまう。好きだったものに辛さを感じて、嫌いになってしまうのは、すごく悲しい。


私の悩みを、社会に活かしたい。

もっと自分の体にも心にも優しくなりたいし、でも社会の一員として活躍していたい・・・。
それをどうしたらいいかを誰かに考えてもらって、自分の周りの環境が良くなるのを「待っているだけ」でいるのはもどかしい。だったら、自分からどんどん変えていけないだろうか。
そんな思いをもち始めて、まずは自分の身の回りから、とコツコツ行動していくうちに、「同じ悩みや葛藤を抱えているのは私だけではないはず」「私の悩みを解決した先に、きっとどこかの誰かの力にもなれるのでは」と気付きました。
そして私は、病気をもつ人の働き方を考え、支える仕事を始めることになりました。

「働くこと=生活するためのお金を稼ぐこと」というのはもちろん大事なことだし、それはそう。ですが、そこにとらわれ過ぎずに、一旦立ち止まって「今の自分には何が難しくて、辛いことなのか」「今の自分がやりたいこと、出来そうなことは何なのか」「今の自分の強みは何か」を整理して考えてみる。
そこから、「どうやったらそれを活かせるのか、実現できるのか」を考え、時に周りの力を借りながら行動に起こしていく。
そして、「こんな自分だったら、病気をもっていたとしても、きっと自分のことを好きでいられるだろう」という自分の姿を思い浮かべるのです。

病気をもつ私たちの小さな「こえ」が集まって、大きな力強い「こえ」になったときに、きっと私たちを取り巻く環境を大きく変えていけるのだと信じています。



この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?