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次はこれ観たい!《映画・ドラマのきっかけnote収集帖》

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今度これ観たいな……と思うきっかけになったnoteを集めました。      #映画感想文 #ドラマ感想文
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記事一覧

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎を観た〜因習を断ち切り、未来を繋ぐ大人たちの話〜

最高でしたよ!とっくにブームなので自分が言うこともほぼないんだけど。 PG12に削ぐわないハードな内容で、横溝正史オマージュ満載のガッツリ因習村ホラー映画になっている。最初に座敷に招かれるシーンとかばりばり角川映画版の犬神家の一族ですよ。 戦闘シーンもめちゃくちゃカッコいいし、バディブロマンスとしても最高。子ども向けどころか大人が観て楽しめる映画です。タイトルの通り、これは鬼太郎の誕生に関わるふたりの父の物語。つまり、大人の責務を巡る話だ。 ざっくり説明すると舞台は昭和三

僕の好きなアジア映画90: 羊飼いと風船

『羊飼いと風船』 2019年/中国/原題:気球/102分 監督:ペマ・ツェテン 出演:ソナム・ワンモ、ジンパ、ヤンシクツォ 東京映画祭について報じるニュースでペマ・ツェテンの「遺作」という文字を見て、僕はやっとこの監督の急逝を知った。小説家でもあるチベットの名匠ペマ・ツェテンの映画を、僕は実はこの『羊飼いと風船』以外は観ていないので、「ファンだ」などというのは無論烏滸がましい。 今僕は安易に「チベットの名匠」と書いたのだが、実はチベットという国は現存しない。中国人民解放軍

なにこの最強につまんなそうなタイトルと絵。『最強のふたり』

なんすかこのタイトル!! これみて面白そうってなる奴おるんかいっ!!オルンカーイ 『最近のふたり』じゃなくてw こんばんは。 【注意】ネタバレかまへんかまへんってお方だけ     進んで下さいねー🤓 let's go!! このタイトルとこのポスターでね、 この映画を観てみたーいとは、 まず思わないよね。皆さんはどう? 私は思えなかったの。 これが私の感覚でした。 これは当時、WOWOWさんだったのかなー確

【早川書房×WOWOW note特別コラボ企画】世界的ベストセラーSF小説「三体」のドラマ版をWOWOWで日本初放送! 原作翻訳者・大森望がその魅力を語る

「SF界のノーベル文学賞」といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞。世界累計発行部数2,900万部超え、20カ国以上の言語で翻訳された世界的大ベストセラーである「三体」(早川書房刊)。そのドラマ化作品(テンセント版)が10月7日(土)より、WOWOWで日本初放送される。その放送に先駆け、今回【早川書房×WOWOW note特別コラボ企画】として原作の翻訳者である大森望さんにインタビューを実施!  コラボ第一弾として、大森さんに原作の翻訳者という視点からドラマ

ドラマ『僕の手を売ります』/巻き込まれ体質の主人公を演じる困り顔のオダギリジョー

「全国を渡り歩く、巻き込まれ体質のプロアルバイターの話」と聞いたときには、荒涼とした風景と孤独を纏う背中を思い浮かべていたのだが、まったく違う話だった。 (以下、一部ドラマの内容を含みます) オダジョーが演じるのは、主人公の大桑北郎。大桑には多額の借金があり、債権者の竹光幸枝(松田美由紀さん)に毎月少しずつ返済中だ。大桑は、全国津々浦々を駆け巡り、仕事を見つけては働くプロのアルバイター。何でも屋、便利屋のようなものだが、もともとの器用さと長年そうした暮らしをしてきたせいか

映画感想文:パンズラビリンス

 気温が高い時に開催されるおうち映画祭で、自分たちのコレクションを観ている。その一つ。ギレルモ・デル・トロ監督の「パンズラビリンス」。  この映画で監督の名前を憶えて、「シェイプ・オブ・ウォーター」と並んで好きな映画だ。漫画家と同じで、好きな映画を見つけたら、監督の名前を憶えて観るようになった。  この映画を初めて観た時に、私はファンタジー映画と受け止めた。  しかし、半ロリ(半分ロリータw?)のダンナが主人公の女の子が可哀想で仕方が無いと言っていたのが印象的だった。

僕の好きなアジア映画86: 手紙と線路と小さな奇跡

『手紙と線路と小さな奇跡』 2021年/韓国/原題:기적/117分 監督:イ・ジャンフン(이장훈) 出演:パク・ジョンミン(박 정민)、イ・ソンミン(이성민)、ユナ(윤아)、イ・スギョン(이수경) この映画、僕のあまり得意ではない「ファンタジー」という類である。しかしよくあるいかにもファンタジーという部分が目立たない作りなので、そういうのが苦手な人もほとんどリアルに近いものとして捉えることができると思う。 物語がなんとも美しい。物語が何より重要な「ドラマ」とは違って、僕自

台湾映画『エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版』この映画を好きな人が多いのもわかる。が、、

メインキャストは7人くらいかな。 無理無理無理。 誰と誰が付き合ってて誰を狙ってて誰が別れそうなのか、、 追いつくので必死ですよ。。 あいつらめっちゃ喋るし。。 しかも画面はほぼフィックスで、おそらく全シーンが長回し。 情報量が多いのに画面に動きがないから、眠くて眠くて。。 目玉取り出してキンキンに冷やしたウィルキンソンで洗いたかったですよ。 ** 邦題は『恋愛時代』。 原題は『独立時代』。 1980年代、民主化によって台湾独立運動が加速。 この映画の公開は1994

再生

映画『リバー、流れないでよ』タイムループとタイムリープとタイムスリップとタイムトラベルの違い

タイムループものの導入って大体だるいんですが、初じゃないかなこのスタートダッシュ! 観客はタイムループ映画だと分かってるのに、登場人物がタイムループに気づくまで同じシーンを何回も繰り返されると「いい加減気づけよ」と、だるい。 しかしこの『リバー』の登場人物たちの理解の早いこと早いこと。 旅館の従業員たちなのでお客さんを安心させるためにも自分のことはさておき、とりあえず客のため全体のためにサクサク動くのが痛快。 そのおかげで大量の登場人物の紹介もサクサク完了するし、そうすればサッサと各々の人間ドラマをスタートできる。 *** 同じ1日をタイムループする映画は多いし、 1週間を繰り返す映画もあるし、 映画じゃないけどスティーヴン・キングの小説『11/22/63』は"5年"を繰り返す。 しかしこの『リバー、流れないでよ』は、2分間。 しかもその2分は長回しで実際に2分間らしい。 2分の繰り返しだと閉じ込められている感が強まるんだけど、登場人物たちが本当に勝手なので物語が自由に展開していって楽しい。 コメディからラブ、スリル、ホラーまでジャンルを超えてどんどん多様に展開していく。 *** そもそもロケでタイムループものって難しいはずなんですよね、天気が同じじゃなきゃいけないので。 だから室内のシーンが多かったりしますね。 この『リバー、流れないでよ』のロケ地は冬の京都の貴船。 撮影期間中に10年に一度の大寒波で大雪が降ったとのこと。 2分繰り返してるのに次の2分では突然の積雪になったりしちゃうわけ。。 さてそれをどうやって乗り越えたのでしょうかというミステリー映画です。。 「なるほど!その手があったね」と納得するし、どう考えてもこの大雪は300%大成功! さすがにいくら物語や人物が自由に展開していっても、景色が同じだとちょっとした"飽き"が湧いてきたはずです。 でも、笑っちゃうくらい雪降ってたり、全然カラッカラだったりするので景色が豊かだし、コメディとしてもスリラーとしてもラブとしても「雪」ってのはエモいですよね。 ワイパーが退けられる雪の量の限界をはるかに越えていたあの車のシーン、笑いました。。 **** ヨーロッパ企画の長編映画第1作目は『ドロステのはてで僕ら』( 2020)。大好き❤️。 撮影期間はコ口ナ寸前で、公開がちょうどコ口ナ禍。 公開時期もちょっと延期に。 「未来が見える」っていう設定なのに登場人物たちは全然コ口ナを予測できてなくて、"時の牢獄"に閉じ込められる話でした。 長編映画2作目の今作『リバー、流れないでよ』はちょうどコ口ナが開けた(?)時期での公開。 2020年から2023年はちょうどコ口ナ禍だったんですね。 ネタバレになっちゃうから言えないんですが、ほんとちょうどこのコ口ナ開け(?)にぴったりの映画なんですよ。 「そろそろさすがにコ口ナが開けて自由になるっぽいぞ」って空気が流れてきた時のあの感覚。。 コ口ナ禍という実際に我々が閉じ込められた経験を、映画では「時間に閉じ込められた」人物たちの奮闘や愛しい勝手さを観て感動してしまうのです。 **** これも強調しとこ。 特に洋画のタイムループものに多いのかな、 クズ人間がタイムループしちゃってクズさを反省して真人間に戻ったらタイムループも解かれた、みたいな映画が多い。 なんか終盤が道徳の授業みたいになっちゃって、そこでシラける。 『リバー』や『ドロステ』にはそういう説教感がない。 けして道徳観がないわけじゃないんですけど、、「人とはこうあるべき!」みたいな押し付けがない。 ネチネチとした正しさの押し付けがない。 そういうとこが好き。

劇場版『ミステリと言う勿れ』は、ミステリというよりも感動的なヒューマンドラマでした

『ミステリと言う勿れ』は月9ドラマを観てあまりにも面白かったので、Kindleで全巻(ドラマON AIR当時は10巻まで)思わず大人買いしてしまった私です。 マンガを読んでいたら整くんのセリフが菅田将暉の声でそのまま耳元に聴こえてくるような錯覚を起こすほどで、あの独特のしゃべり方は相当研究され尽くしたものだったんだろうなーと感心しました。 あのしゃべり方に到達するまでに菅田くんの中でどんな葛藤があったんだろう?と本人に聞いてみたくなりました。 劇場版で描かれている【広島

【映画感想文】【君たちはどう生きるか】「わけがわからない」の価値

観る前のこと7/14公開で、どの道、夏休みが明けたら観に行こうと思っていたのだけど(たぶん子供と一緒に見るのは色んな意味で難しいだろうなと思ったため)、米津玄師インタビューをネットで見て、ああ これはもう絶対観ないと駄目だと強烈にプロモートされる。 この人のことばは、私の心に刺さりまくる。 これは、彼が小学1年生でもののけ姫を観たときのエピソードから。 今の時代って、子供にはなるべくショックを与えないというか、「悪いもの」をできるだけ排除しようとするし、何かと「傷つく

【映画感想文】信じるものしか救わないセコい神様拝むよりは - 『ウーマン・トーキング 私たちの選択』監督:サラ・ポーリー

 子どもの頃、B'zが最強に人気でベストアルバム『B'z The Best "Pleasure"』をわたしも買った。好きとか嫌いとかそういう問題ではなく、必修科目という感じで手にしたことを覚えている。  イントロがめちゃくちゃ長い『LOVE PHANTOM』だったり、サビ前の「ねえ、そうでしょー?」という呼びかけが印象的な『Easy Come, Easy Go!』だったり、大ヒットしているのが納得の名曲が並ぶ中、『愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』は際立って印象

日本に住んでいないため最近気づいて観ました。 ドラマ「オールドファッションカップケーキ」。 言葉もシーンも全て尊い。素晴らしい。Wunderbar! 全話見終わって心からほっとしました。あぁよかった。。。 ディジタル書籍で原作を購入して何度も読み返したい。

映画『ミッドサマー』考察 / あのお祭りは何だったのか? ※ネタバレ有

※映画『ミッドサマー』・『ミッドサマー ディレクターズカット版』のネタバレが含まれます。 ※少しだけ映画『ヘレディタリー/継承』についても触れています。全くのネタバレ無しで『ヘレディタリー/継承』を見たい!という方はご注意ください。 2020年に日本で公開された映画『ミッドサマー』。映画『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター監督作品ということもあり、日本での公開前からネットでは盛り上がっていました。「画面が明るいのに……明るいからこそ怖い」というよくあるホラーとは真逆のア