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【早川書房×WOWOW note特別コラボ企画】世界的ベストセラーSF小説「三体」のドラマ版をWOWOWで日本初放送! 原作翻訳者・大森望がその魅力を語る
「SF界のノーベル文学賞」といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞。世界累計発行部数2,900万部超え、20カ国以上の言語で翻訳された世界的大ベストセラーである「三体」(早川書房刊)。そのドラマ化作品(テンセント版)が10月7日(土)より、WOWOWで日本初放送される。その放送に先駆け、今回【早川書房×WOWOW note特別コラボ企画】として原作の翻訳者である大森望さんにインタビューを実施! コラボ第一弾として、大森さんに原作の翻訳者という視点からドラマ
映画『リバー、流れないでよ』タイムループとタイムリープとタイムスリップとタイムトラベルの違い
タイムループものの導入って大体だるいんですが、初じゃないかなこのスタートダッシュ! 観客はタイムループ映画だと分かってるのに、登場人物がタイムループに気づくまで同じシーンを何回も繰り返されると「いい加減気づけよ」と、だるい。 しかしこの『リバー』の登場人物たちの理解の早いこと早いこと。 旅館の従業員たちなのでお客さんを安心させるためにも自分のことはさておき、とりあえず客のため全体のためにサクサク動くのが痛快。 そのおかげで大量の登場人物の紹介もサクサク完了するし、そうすればサッサと各々の人間ドラマをスタートできる。 *** 同じ1日をタイムループする映画は多いし、 1週間を繰り返す映画もあるし、 映画じゃないけどスティーヴン・キングの小説『11/22/63』は"5年"を繰り返す。 しかしこの『リバー、流れないでよ』は、2分間。 しかもその2分は長回しで実際に2分間らしい。 2分の繰り返しだと閉じ込められている感が強まるんだけど、登場人物たちが本当に勝手なので物語が自由に展開していって楽しい。 コメディからラブ、スリル、ホラーまでジャンルを超えてどんどん多様に展開していく。 *** そもそもロケでタイムループものって難しいはずなんですよね、天気が同じじゃなきゃいけないので。 だから室内のシーンが多かったりしますね。 この『リバー、流れないでよ』のロケ地は冬の京都の貴船。 撮影期間中に10年に一度の大寒波で大雪が降ったとのこと。 2分繰り返してるのに次の2分では突然の積雪になったりしちゃうわけ。。 さてそれをどうやって乗り越えたのでしょうかというミステリー映画です。。 「なるほど!その手があったね」と納得するし、どう考えてもこの大雪は300%大成功! さすがにいくら物語や人物が自由に展開していっても、景色が同じだとちょっとした"飽き"が湧いてきたはずです。 でも、笑っちゃうくらい雪降ってたり、全然カラッカラだったりするので景色が豊かだし、コメディとしてもスリラーとしてもラブとしても「雪」ってのはエモいですよね。 ワイパーが退けられる雪の量の限界をはるかに越えていたあの車のシーン、笑いました。。 **** ヨーロッパ企画の長編映画第1作目は『ドロステのはてで僕ら』( 2020)。大好き❤️。 撮影期間はコ口ナ寸前で、公開がちょうどコ口ナ禍。 公開時期もちょっと延期に。 「未来が見える」っていう設定なのに登場人物たちは全然コ口ナを予測できてなくて、"時の牢獄"に閉じ込められる話でした。 長編映画2作目の今作『リバー、流れないでよ』はちょうどコ口ナが開けた(?)時期での公開。 2020年から2023年はちょうどコ口ナ禍だったんですね。 ネタバレになっちゃうから言えないんですが、ほんとちょうどこのコ口ナ開け(?)にぴったりの映画なんですよ。 「そろそろさすがにコ口ナが開けて自由になるっぽいぞ」って空気が流れてきた時のあの感覚。。 コ口ナ禍という実際に我々が閉じ込められた経験を、映画では「時間に閉じ込められた」人物たちの奮闘や愛しい勝手さを観て感動してしまうのです。 **** これも強調しとこ。 特に洋画のタイムループものに多いのかな、 クズ人間がタイムループしちゃってクズさを反省して真人間に戻ったらタイムループも解かれた、みたいな映画が多い。 なんか終盤が道徳の授業みたいになっちゃって、そこでシラける。 『リバー』や『ドロステ』にはそういう説教感がない。 けして道徳観がないわけじゃないんですけど、、「人とはこうあるべき!」みたいな押し付けがない。 ネチネチとした正しさの押し付けがない。 そういうとこが好き。