Manabu Ishigooka

山形ブラジル音楽協会会長。 音楽とアジアの映画について書きます。 音楽はブラジル音楽に限らず、好きな音楽であればなんでも。僕の色が出るセレクトを心がけます。 アジアの映画はできるだけ語り尽くされている巨匠の作品ではない、ここ10年程度の「好き」な作品を取り上げます。

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山形ブラジル音楽協会会長。 音楽とアジアの映画について書きます。 音楽はブラジル音楽に限らず、好きな音楽であればなんでも。僕の色が出るセレクトを心がけます。 アジアの映画はできるだけ語り尽くされている巨匠の作品ではない、ここ10年程度の「好き」な作品を取り上げます。

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    yamabra disk: PETER BRODERICK / Piano Works Vol. 1 (Floating in Tucker's Basement)

    オレゴン州ポートランドに生まれたピーター・ブロデリック(Peter Broderick)は、ピアニスト/作曲家/シンガー・ソングライター/マルチ・インストゥルメンタリスト。僕は彼の音楽が好きで、ほとんどの作品を追いかけてきたつもりだけど、率直にいってこのところの作品は、僕にはフィットしていないと感じていました。才人であるが故に、その音楽の振れ幅や方向性が多岐に渡り、それが逆にしっくりこないことがある要因なのかなと。 さて、本作はピアノ・ソロ。元々は楽譜集『Piano Wor

      • 僕の好きなアジア映画54: 三姉妹

        『三姉妹』 2020年/韓国/原題:세자매/115分 監督:イ ・スンウォン(이순원) 出演:ムン・ソリ(문 소리)、キム・ソニョン(김선영)、チャン・ユンジュ(장윤주)、チョ・ハンチョル(조한철)、ヒョン・ボンシク(현봉식) 日本では家父長制度が強く残っている家庭など、今やほとんど絶滅危惧種に近いものになっていると思う(違いますか?)。しかし日本より儒教的道徳観が広く浸透している韓国においては、未だにそれは社会を歪める大きな問題なのだと思う。物語は暴力で子供達を抑圧してき

        • yamabra disk: DANIEL HERSKEDAL / Out of the fog

          Daniel Herskedal(ダニエル・ハースケダール)はノルウェーのチューバ奏者。トリオ編成の前作も素晴らしかったけれど、本作はvocalに同じくノルウェーのシンガー・ソングライター、Emilie Nicolas(エミリエ・ニコラス)をフューチャーしたアルバムです。 全曲Daniel Herskedalのオリジナル。寂寞として、荘厳にしてドラマチック。その旋律には中東的な響きも感じさせる。それがチューバの音色に極めて相性が良いのです。 そしてEmilie Nicol

          • yamabra disk: JEAN-MARC MONTAUD QUARTET/ Drive-in

            渡部徹(pwm)さんが紹介されていたアルバムですが、これ洒脱ですっごくいいですね。 本作は映画音楽のカバー集で2014年リリース。取り上げられているのは、 *Herbie Hancock / Chan's Song(ベルトラン・タベルニエ:『ラウンド・ミッドナイト』) *Michel Legrand / La chanson de Delphine à Lancien(ジャック・ドゥミ:『ロシュフォールの恋人たち』) *Henry Mancini / Charade 、Tw

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            yamabra disk: SONG YI JEON & VINICIUS GOMES / Home

            以前から韓国映画が大好きだったのですが、最近はコロナで映画館にも行けず、その分韓国ドラマを観まくっている。すると当然BGMもたくさん耳にすることになるのだが、必ずしも音楽のあり方は僕のテイストではなくても、感心するのは韓国の人たちの歌の上手さ。とにかく彼らは歌が得意なのだ。 本作は韓国人女性歌手のSong Yi Jeonとブラジル人ギタリストのVinicius Gomesによる双頭名義のアルバム。 韓国人、やっぱり歌上手いなぁ。音程がしっかりしているし、テクニカルにも素晴

            多分映画好きにも納得していただける韓国ドラマ31選

            僕は基本的に映画ファンです。だから韓国映画はたくさん観ていましたが、傲慢にも、しかし多くの映画ファンと同様に、韓国ドラマを観たこともなく、でありながら観る価値がないものぐらいに思っていたのです。ところがコロナのせいで映画館に行く機会が劇的に減って、試しに韓国ドラマを観てみるとこれがとんでもなく面白い。プロットは優れているし、俳優は皆演技が上手いし女優さんは美しい。そしてセットや美術などにもお金をたくさんかけているのがわかる。今までの自分の認識が全く間違っていたことにすぐに気付

            僕の好きなアジア映画53: 夜明けの詩

            『夜明けの詩』 2021年/韓国/原題:아무도 없는 곳/82分 監督:キム・ジョングァン(김종관) 出演:ヨン・ウジン(연우진)、IU(아이유)、キム・サンホ(김상호)、イ・ジュヨン(이주영)、ユン・ヘリ(윤혜리)、ムン・スク(문숙) シネマ映画.COMの「公開直前プレミア上映」で鑑賞。原題の「아무도 없는 곳」は「誰もいないところ」という意味のようで、どうして邦題が「夜明けの詩」なのか理解できない。そして日本の宣伝としては「ヒーリング・ストリー」であるかのようだが、ちょ

            yamabra disk: naomi & goro / ケサランパサラン

            naomi & goroのなんと6年半ぶりのニュー・アルバムです。このアルバム、もちろんボサノヴァ的な曲もありますが、もはや「ボサノヴァ・デュオ」の部分をことさらに強調する必要もないのかな、とも思います。 楽曲はゴローさんのオリジナル曲を3曲、そのほかユーミンの「12月の雨」、「オー・シャンゼリゼ」、「エーデルワイス」などのエヴァーグリーンなスタンダード、フォーレの「水のほとりで」、山下達郎の「クリスマス・イブ」と、そしてElton Johnの「Your Song」。 オ

            yamabra disk: DUVAL TIMOTHY / Meeting with a Judas Tree

            Duval Timothy(デュヴァル・ティモシー)の音楽には毎回驚かされ、そして魅了されます。本作も期待に違わず素晴らしいアルバムです。サウスロンドン出身の作曲家/マルチ・アーティストです。 本作は、主に南ロンドンにある自宅スタジオと、シエラレオネのフリータウンにあるCarrying Colourのスタジオで、2019年から2022年の間に録音されたとのことです。いく種類かのピアノ、アナログシンセ(Moog Grandmother)、ダブルベース、エレキギターなどの楽器と

            yamabra disk: WILLIAM FITZSIMMONS / Covers, Vol.1

            William Fitzsimmonsは、ナッシュビルを拠点とする僕が最も信頼しているシンガー・ソングライターです。美しく切ない曲を届けてくれる、優れた作曲家であり、切なくスウィートな声を持つ魅力的な歌い手でもあります。 本作はそのWilliam Fitzsimmonsの最近作なのですが、なんとこれがカバー集なのです。Taylor Swift、Joy Division、Peter Gabriel、John Denver、Sufjan Stevens、Elton John、P

            yamabra disk: BILL LAURANCE / Affinity

            Snarky Puppyのニュー・アルバムもリリースされたし、このBill Laurance(ビル・ローレンス:1981年生まれ、英ロンドン出身、作曲家/プロデューサー/ピアニスト)にとって初の、待望のピアノ・ソロ・アルバムも、もう少し話題なっても良いのではないでしょうか? 過去にソロ名義のアルバムを5作出しているBill Lauranceですが、このピアノ・ソロ、これが想像以上に審美的でロマンチックです。流麗で煌めくようなタッチと、クラシカルで映像的イマジネーションを惹起

            人生で一番聴いたアルバム(山形ブラジル音楽協会編)

            一番好きなアルバムではなく、今まで一番数多く聴いたアルバムを山ブラメンバー/関係者に聞きました。あくまで今まで一番回数多く聴いたアルバムです。 あの人があんな音楽を聴いていたとは、という興味で。意外なのもあればその人らしいのもあり、その人の音楽の原点とも言えるものもあれば、全く今の嗜好とは違うものもあるでしょう。しかし最も多く聴いたアルバムであるが故にその人のある時期の傾向がバレて、興味深いではありませんか。原稿をいただいた順に並べてあります。 ありがたい事に、山ブラファ

            yamabra disk: SAMARA JOY / Linger Awhile

            もちろんJAZZを聴くこともあるのですが、スタンダードなJAZZを聴くっていうことは、実は今ほとんどありません。JAZZの範疇とされる歌い手に関しても、「いかにも」というオーソドックスすぎるものは、むしろ避けていました。 で、このSamara Joy、山本勇樹さんが紹介していたので聴いてみたのですが、見事に正当派(何を持ってして「正当」というかは知らないけど)の堂々とした歌い手です。ブロンクスで生まれ。祖父母は有名ゴスペル・グルーブ「The Savettes」のメンバーで、

            僕の好きなアジア映画52: 無言歌

            『無言歌』 2010年/香港・フランス・ベルギー/原題:夾辺溝/109分 監督:ワン・ビン(王兵) 出演:ルウ・イエ、ヤン・ハオユー、シュー・ツェンツー、リャン・レンジュン、チョン・ジェンウー 僕が初めてワン・ビンの映画を観たのは山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された『名前のない男』というドキュメンタリー作品であった。この作品はまさに衝撃的で、1人の男(浮浪者だよなぁ)が荒れた土地の洞穴に暮らしていて、ひたすら食べ物を拾ってきては、くちゃくちゃ音をたてながら食べ、そして

            yamabra disk: FEDERICO ARRESEYGOR / Jardinería para Principiantes

            Carlos AguirreやAca Seca Trio、そしてSebastian Macchi、Cribasなどは、ネオ・フォルクローレと呼ばれる音楽を志向するアーティストたちの中でも、常に期待を裏切らない、上質な音楽を届けてくれる。そしてこのFederico Arreseygor(フェデリコ・アレセイゴル)もそんなアーティストの一人です。 Federico Arreseygorは、ブエノスアイレス州の州都ラ・プラタ出身のピアニスト/歌手/作編曲家で、これまでに3作の自身

            yamabra disk: JOHANNA LINNEA JAKOBSSON / Alone Together

            Johannna Linnea Jakobsson(ヨハンナ・リネア・ヤコブソン)はデンマーク生まれ、現在はスウェーデンを拠点に活動しているアルトサックス奏者にして、シンガー・ソングライター。本作は彼女のデビュー・アルバムです。 彼女はアルトサックスも吹いているのですけど、歌い手としての彼女が僕にとっては魅力的です。テクニカルに上手い、または強靭な声っていうわけではなくて、悪く言え少し心もとない、あるいは頼りないって感じる人もいるかもしれません。しかしですよ、逆にそこが彼女