おっさん機長

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最近の記事

自社養成パイロット試験を受けた

 航空大学校の試験を受けている同時期に、自社養成を受けていました。僕が大学生の時は就職活動は秋からでした。3年の秋から大手航空会社の自社養成パイロットの採用試験が始まりました。確か当時の自社養成パイロットの採用は日本航空のみで、書類審査を通過して面接に行きました。就職面接なので普通は黒い革靴がセオリーなのですが、その時は黒の革靴は持っていなくて、夜遊び用のワイン色の革靴しかありませんでした。くつ下を何にするかで迷って親に電話で聞いたら「くつ下の色は靴と合わせるのが良い」と聞い

    • パイロットはむきムキムキ?

       大学2年間で卒業に必要な単位の9割近くをとって、3年生になると大学へはほとんど行く必要がなくなりました。これからは勉強シフトです。数学が試験科目ですが、高校時代は理科系選択なのでなんとかなりました。英語も大学受験の時の問題集を引っ張り出して勉強しました。航空大の筆記試験はそんなに難しくはありません。大学受験レベルで良い。最近は物理とかあるみたいですが、理系ならばほとんど勉強しなくても受かるのではないかと思います。でも何が大変かというと、一度遊ぶことを憶えた大学生がまた勉強す

      • Sくん がんばれ

         彼は機長昇格の訓練に入れなかった。  訓練に入れなかった具体的な理由は僕には分からないが、他の機長の評判は悪かったのは事実だ。四面楚歌までとはいかないけれど、半分以上の機長が彼の機長昇格には否定的だった。  機長にはフライトの中で常に重要なストレスのかかる判断が求められる。それをサポートして機長が仕事しやすい環境を作るのも、副操縦士の業務の一つである。機長の仕事しやすい環境の中には、機長との人間関係も含まれる。  彼は機長の指摘に納得がいかないと反抗的な態度を取り、次の日に

        • 学年ビリでもパイロットになれました

           パイロットには、さも優秀な人がなるのだろう、と思う方もいるかもしれませんが、実はそうでもありません。もちろん、優秀な人もいますが。  僕は高校の時の成績は下から数えたほうが早く、一番ひどい時は500人中495番くらいだった時があった。500人もいれば体調不良などで万全の状態で受けていない人もいるだろうし、そんな人は全科目受験していなかったかもしれないので(実際はよくわからないけど)、多分その時の試験は実質的にはほとんどビリだったと自覚している。でも、大人になって働くようにな

        自社養成パイロット試験を受けた

          僕たちの失敗

           「は〜るの〜木漏れ日の〜中で〜君のやさ〜しさに〜埋もれて〜いた〜僕は〜弱虫だったんだよね〜」  昔はやったドラマ「高校教師」テーマ曲の歌詞ですが、本日の内容とは全く関係ありません。ただ単に曲名「僕たちの失敗」を使いたかっただけです。  曲は悲しい調べですが、僕の心も悲しい気持ちでいっぱいです。泣きたい気持ちをこらえて、スタバで書いております。  今日、僕は失敗しました。ゴーアラウンドという着陸のやり直しをしました。    身バレが嫌なので、実際の空港名は避けます。とある地方

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          パイロットになるには、どこの訓練ソースが良いのか

           Noteを見ていると、パイロットになりたい人は今でも結構いるもんだと感心している  だから、今日はパイロットになる方法を書きたい。  散々仕事の文句を書いてきて言うのもなんだが、それでもパイロットは素晴らしい仕事だと思う。  何年も仕事をしていれは、いろんな思いはわく。この会社は馬鹿じゃねーの!、上司はクソ!、こんなきつい勤務やってられねーぜ!、CAが冷たい、コパイもっとしっかりしてくれ、などなど。声を大にしては言えないことを、心の中で毒吐きながら仕事をしている。  でも上

          ¥100

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          ジェット気流

           僕らパイロットが仕事をする上で、常についてまわるジェット気流の話である  ジェット気流とは何か。副操縦士になった頃は東大の気象学の本を読まされ、なんとか循環とか学術的なことを勉強させられた気もするが、要は「上空の西風の強いところ」でパイロット的にも十分だと思う  昔、第二次大戦の頃、アメリカの爆撃機が日本を爆撃するためにマリアナ諸島から北上すると、日本付近で強い風の束に当たり東に流されて困ったらしい。「後ろへ飛んだ」という証言もあるらしいが、さすがに嘘だ。ただそう言いたく

          ジェット気流

          パイロットは忙しいのである

          最近管理職になって仕事が忙しくなった銀行員の姉が 「パイロットの仕事って、どうせ楽なんでしょ。自動操縦にしたら、やることないんでしょう?」  という。楽でいいわよね、優雅よねパイロットは、と言いたいらしい。 仲の良い旧友でもなかなかここまで言いたい放題に言ってくれないので、「なるほどこれがパイロットの仕事のイメージか」と思ったものだ。  当然であるが、パイロットの仕事はそんなに楽ではないし、暇ではない    パイロットの仕事は、会社が計画した飛行計画の承認から始まる。会社の運

          パイロットは忙しいのである

          パイロットの見る星空

             前回の終わりに「次は楽しい事を書く」と書いたので、パイロットになって楽しい事を思い浮かべようとしたけど、日々の激務で楽しい事が思い浮かばない  仕方なく妻に「俺の仕事で楽しい事って何かあったっけ?」と聞いてみると 「色々あるじゃない。この間も『星が見えた』って言ってた」  そんな事言ったっけ?  そう、コックピットから確かに星は良く見える  都会に住んでいる人は分かると思うけど、東京の空は明るすぎてほとんど星が見えない  中学生の時に、林間学校ですごい田舎に行かされた

          パイロットの見る星空

          君はパイロットになれるか

           次男が小学生の時、妻がお友達のお母さんから「パイロットってどういう人が向いているの?」と聞かれたそうだ。なんでも、その次男の友達はパイロットになりたいらしい。そこで妻はこう答えた。「嫌いな人をずっと密室で二人きりで仕事しても耐えられる人」と答えたそうだ。  素晴らしい回答だ  パロットはすごい能力が必要だと思われている。特別な訓練をして誰も出来ないような事をやっている、スーパーマン?のように見られているのかもしれない。確かに訓練は厳しい。これまでたくさんの訓練を受けてきたが

          君はパイロットになれるか