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妻恋う鹿は笛に寄る(自作の詩と散文)

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瀬戸内海に面する小都市で暮らし、働きながら詩や散文を詠んでいます。情景を言葉として、心で感じたことを情景にして描くことを心がけています。言葉の好きな方と交流できたらいいなと思って…
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#日記

僕にしかできないこと

僕にしかできないこと

古くから馴染みある曲を聴きながら、新しいことを考えている夜。キッチンの窓から見える景色が暮れていくのを長い間見つめている。

人を理解するよりも、ニコニコして穏やかに過ごして、否定も肯定もせず信じて寄り添うことが大事なのかもしれない。

いつのまにか日が暮れて、いつのまにか歳をとっている。そんなことがキラキラして貴重なことのように感じる。

僕にしかできないことってなんだろう?

僕は今しているこ

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笑顔の朝

笑顔の朝

あなたに出会う為に
迷いはぐれて見失い
ここにたどりついた

あなたに出会う為に
ベストタイミングで
ここにたどりついた

あなたの存在する朝
皆の未来だった今日
くすりと笑顔になる

薔薇色の人生

薔薇色の人生

行き場を失った言葉が転がっている
その一つひとつを拾い上げて
大切に磨いた
そして詩に詠んだ

自信を失い手垢に染まった人生を生きていた
その一つひとつの行いを省みて
大切に昇華した
そして静謐な物語の主人公である自覚を持った

バラ色の人生を描いてみた
そんなものどこにもありゃしない
それでも絵の具にまみれて
描いている私は生き生きとしていた

それでいい

水蜜桃

水蜜桃

水蜜桃にバニラアイスとミントを添える

夏はまぢか

高気圧の風に揺れて

私は夏に貪られていく

七夕

七夕

真っ暗な宇宙の片隅の青の星で
西暦二千二十三年七月七日

六百キロの距離を越えて出会った
二人は天の川を見上げている

二人が乗り越えなければならない運命は
巡り会ったことに比べれば、遥かに小さなこと

彼方の星たちに
祈りと誓いを込めて

雪のように白い花が咲いた日

雪のように白い花が咲いた日

雪のように白い花が咲いた日、空は澄んでいて、どんなに優れた絵描きが描いても、描き切れないような美しい色だった。それは、特別楽しいことや特別に悲しいことのない、ただただ平凡で、それは絵に描いたような平凡と思える一日だった。

しかし考えてみると、特別なものほど描きやすく、平凡なものほど描きにくいように思えるから、本当のところ、平凡な空の下、特別な一日を過ごしているのが、私たちの生活かもしれない。

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