コモンズ(出版社)

◆いのちと暮らしを守るメッセージ◆環境・アジア・農・食・自治などをテーマに暮らしを見直…

コモンズ(出版社)

◆いのちと暮らしを守るメッセージ◆環境・アジア・農・食・自治などをテーマに暮らしを見直すためのメッセージを伝えるちいさな出版社です。1996年創業。

マガジン

  • コモンズの書籍

    環境・アジア・農・食・自治などをテーマに暮らしを見直すためのメッセージを伝えるちいさな出版社です。

最近の記事

「耕す市民」の力が、持続可能性を取り戻す!

 この秋、今年のコモンズ2冊目の新刊が書店に並び始めます。『農の力で都市は変われるか』(小口広太・アジア太平洋資料センター編著、四六判、192ページ、本体1800円+税)です。 都市の食の危機と「耕す市民」の力  2019年、東京の自給率はついに0%台に。便利な生活の裏で食の海外依存も進んでいます。食料危機ももはや遠い国のことではありません。また、コロナ禍では貧困問題の深刻化、人付き合いの希薄化など、都市に眠る問題が次々にあぶり出され、人びとの不安感が増大してしまいました

    • 有機農業のまちはどうやって生まれたのか?

      約1年ぶりの新刊が今日から書店に並び始めます。『有機農業はこうして広がった』(谷口吉光編著、四六判、272ページ、本体2000円+税)です。  本書は、社会学者の著者、谷口吉光さんが、「有機農業は日本で広がっていない」という通説に疑問を抱いたことから出発しました。多くの人が「オーガニック」という言葉に親しんでいるにもかかわらず、日本では「広がり」が、耕地面積や農家戸数という視点から語られてばかりです。  また、近年、千葉県いすみ市のオーガニック給食に代表される、有機農業

      • 新型コロナで再認識した都会暮らしの危うさ

        6月20日現在、新型コロナウイルス感染者数が少ない県は、岩手(0人)、鳥取(3人)、徳島(5人)、鹿児島(10人)、秋田(16人)。すべてが県土の大半を過疎地域が占める。岩手県は本州で最も面積が広い。1㎢あたり人口密度は80.29人で、本州で最も少ない。だから、「三密」にはなりにくい。これは、農業現場でも同様だ。田畑での農作業のみならず、農村社会で「三密」になるケースはほとんどない。農民作家の山下惣一が言う。 「過疎こそが最大の感染症予防。新型コロナでわかった都会暮らしの危

        • 臨時休校の学校給食への影響

           安倍首相が唐突に打ち出した、全国の小中高校に対する春休み開始までの臨時休校要請について、各方面から異論が出ている。専門家の意見を反映したものではなく、右派系勢力にも広がりつつある批判にあせった首相の思いつきだろう(産経新聞とフジテレビグループが2月22・23日に行った世論調査では、支持率36.2%、不支持率46.7%)。 以下のコメントが的を射ている。 「休校は地方自治体が主体的に判断すべきだ。具体的な対応策を示さずにインパクトの強い策を表明するのは、政治的パフォーマン

        「耕す市民」の力が、持続可能性を取り戻す!

        マガジン

        • コモンズの書籍
          2本

        記事

          保守とリベラルを考える

           先日、東京・生活者ネットワークの「新春の集い」で、政治学者の中島岳志さんの講演を聞いた。ぼくは、「リベラル保守による現実主義」をモットーとする彼に、もともと一目置いている。最近は、ファンと言ってもよい。このときの話も非常に示唆に富む内容だったので、紹介したい。  最初に結論を書こう。リベラルの反対概念は保守ではない。リベラルと保守は、相性が良い。 意外に思う人がけっこういるかもしれない。だが、ぼくはこの数年、同じことを感じてきた。ただし、ぼくは保守の前に「本来の」という言

          保守とリベラルを考える

          クラウドファンディングを応援してください!

          『写真集キャンドル革命――政権交代を生んだ韓国の市民民主主義』(キム・イェスル著、キム・ジュヒョンほか写真、パク・ノヘ監修、白石孝日本語版監修、韓興鉄・青柳優子ほか訳、予価3500円+税)を翻訳出版するためのクラウドファンディングを、11月11日から始めました。 私がキャンドル革命について詳しく知ったのは、昨年3月『ソウルの市民民主主義――日本の政治を変えるために』を刊行したときです。キャンドル革命は、長らく続いた格差の拡大や政権と財閥の癒着に怒りを爆発させた市民たちが始め

          クラウドファンディングを応援してください!

          オーガニックスーパーで感じた疑問

          9月19日、「パリ発のオーガニックスーパーマーケット」と銘打つBio c’ Bon(ビオセボン)に、ぼくが理事を務めるコミュニティスクールまちデザインの講座で、初めて行った。訪れたのは2016年に一号店としてオープンした麻布十番店(港区)だ。 ホームページの「私たちがめざすもの」には「普段使いできる幅広いオーガニック商品の品揃え」「話して、納得して購入できるコミュニケーションのあるお店」などと書かれている。売られているのは、野菜・果物、肉・魚、惣菜、酒、化粧品などだ。 ぼ

          オーガニックスーパーで感じた疑問

          オリンピックの終わりの始まり

           2020年の東京オリンピックまで、あと1年を切った。  ごく一部に反対の声はあるが、一般的には「いまさら反対しても仕方ない」と「歓迎」に意見は分かれているようだ。ただし、この猛暑を前にして「死者が出る」と多くの人が言っている。  ぼくは、スポーツをするのも見るのも大好きだ。62歳の現在も、5000mからハーフマラソンまで年数回は大会に出る。陸上や水泳は、日本選手権も世界大会もビデオに録る。オリンピックも毎回見ている。でも、2013年9月にブエノスアイレスで行われたIOC総

          オリンピックの終わりの始まり

          高畠で3つの発見

           8月8・9日に有機農業の調査で仲間の研究者と山形県高畠町を訪れました。去年の1月以来、1年半ぶり。東京と変わらず暑かった! そして、枝豆(山形県特産のだだちゃ豆)はじめ食べものが美味しかったです。  高畠町は、埼玉県の小川町や茨城県の旧八郷町などと並んで、有機農業が盛んなことでよく知られています。星寛治さんの著作などを通してご存知の方も多いでしょう。何回も訪れていますが、そのたびに新たな発見があり、勉強になります。今回、印象に残ったことを3つ紹介しましょう。  第一に、

          高畠で3つの発見

          水道について考えてみませんか

          2カ月ぶりの新刊がきょう出来上がりました。『日本の水道をどうする!?――民営化か公共の再生か』(内田聖子編著、本体1700円+税)です。  昨年の暮れに水道法が改正され、水道事業の運営権を民間企業に売却すること=民営化が可能になりました。メディアでもけっこう報道されたので、ご存知の方も少なくないでしょう。 安倍政権は、経済に関して二つの重い病気に罹っています。「新自由主義・市場至上主義病」と「成長病」です。効率と競争を金科玉条とし、GNPさえ増えれば人びとは幸せになると誤解

          水道について考えてみませんか

          都市に農業はいらないか?

          いっこうに晴れない日々が続いていますが、今年もぼくが大好きな練馬の夏野菜の美味しさは変わりません。先日も枝豆とトウモロコシを堪能しました。もちろん、ビールと一緒に! 実は、都市農業をめぐる状況はこの30年間でとても大きく変わりました。1980年代の半ばは似非評論家やマスメディアが「都市に農地はいらない」の大攻撃。都市部の農業者は肩身が狭い想いをしたものです。「都市にこそ農業が大切だ」と一貫して思っていたぼくは当時『東京に農地があってなぜ悪い』という本を創りましたが、全く売れ

          都市に農業はいらないか?