都市に農業はいらないか?


いっこうに晴れない日々が続いていますが、今年もぼくが大好きな練馬の夏野菜の美味しさは変わりません。先日も枝豆とトウモロコシを堪能しました。もちろん、ビールと一緒に!

実は、都市農業をめぐる状況はこの30年間でとても大きく変わりました。1980年代の半ばは似非評論家やマスメディアが「都市に農地はいらない」の大攻撃。都市部の農業者は肩身が狭い想いをしたものです。「都市にこそ農業が大切だ」と一貫して思っていたぼくは当時『東京に農地があってなぜ悪い』という本を創りましたが、全く売れませんでした。ほとんどの日本人は「東京に農地はなくてよい」と考えていたのです。


ところが、最近は違います。2015年度のインターネット都政モニターアンケートでは「東京に農業・農地を残したいと思いますか」(対象500名、回答率95%)という問いに対して、85.5%が「残したいと思う」と回答しています(05年度は81.1%)。そして、都市農業振興基本法が2015年に成立。都市農地は初めて振興の対象となり、「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」へと位置づけは180度変わりました。


東京23区でも、10区に農地があり、農業が営まれています。大田区・中野区・目黒区に農業があると言うと、大半の人が驚くでしょう。23区、多摩地区、横浜市などの農業は概ね多品種少量生産で、農薬と化学肥料に過度に依存していません。直売所では、新選で安く、相対的に安全な野菜が手に入ります。

(ソウル市・江東区 道路を挟んで超高層ビルと市民農園)

お隣の韓国ソウル市では、25区のうち農業がきちんと残っているのは2区しかありません。でも、注目すべき市民農園や有機農産物の直売所がありました。


そうした都市農業の現状、そして今後の展開について、明後日の20日に練馬区で、8月11日に千代田区で話します。都市農業の社会的機能や存在意義をどう捉えたらよいのか。女性農業者・後継者・新規参入者はどんな志向なのか。非農家の都市住民たちは農業・農とどう向き合っているのか…。さらに、12月21日には立教大学で行われる第20回日本有機農業学会では、熱心に取り組んできた生産者の報告を踏まえ、会場とのやりとりも活発に行いながら、都市農業がもつゆたかな方向性をディスカッションします。

★7月20日練馬発の新たな都市農業政策~未来を担う子どもたちのために~http://www.nerima-net.gr.jp/news/news2/1560923345.html

★8月11日韓国に注目~都市有機農業と無償学校給食:韓国調査報告会http://www.commonsonline.co.jp/wp/wp-admin/post.php?post=3152&action=edit


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