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オリンピックの終わりの始まり

 2020年の東京オリンピックまで、あと1年を切った。
 ごく一部に反対の声はあるが、一般的には「いまさら反対しても仕方ない」と「歓迎」に意見は分かれているようだ。ただし、この猛暑を前にして「死者が出る」と多くの人が言っている。

 ぼくは、スポーツをするのも見るのも大好きだ。62歳の現在も、5000mからハーフマラソンまで年数回は大会に出る。陸上や水泳は、日本選手権も世界大会もビデオに録る。オリンピックも毎回見ている。でも、2013年9月にブエノスアイレスで行われたIOC総会で安倍首相が「アンダーコントロール」と言い、20年大会が東京に決まったとき、心の底から腹が立った。
「なぜ、いま日本でやるんだ! 原発事故は何も解決していないぞ」
そして、その日にDVDと本を創ろうと思った。

検証!オリンピック――-華やかな舞台の裏で』より
アジア太平洋資料センター制作(谷口源太郎監修、大江正章監修協力)

 では、監修者と著者を誰にするか。
これも、直ぐに決まった。スポーツが好きで、スポーツの歴史や問題点に精通していて、批判的な論陣を張れるジャーナリストと言えば、谷口源太郎さんしかいない。
DVDは、ぼくが共同代表を務めるNPO法人のアジア太平洋資料センター(PARC)で、2014年に完成した。『検証!オリンピック――-華やかな舞台の裏で』(谷口源太郎監修、大江正章監修協力)。

ところが、本は難航した。構成案はほどなく決まったが、谷口さんの筆が進まない。その後、構成案を練り直していく。オリンピックだけではなく、スポーツとは何かまで問いかけたかった。

 オリンピックが大きく変わったのは、80年のモスクワ大会の西側陣営のボイコットと、84年のロセンゼルス大会の極限までの商業化路線だ。同時に、ほとんどの人が忘れているか知らないが、64年東京大会でも、開会式の直前に二つの国の選手団が帰国した。国際政治の影響である。

 企画から5年。オリンピックの歴史を検証し、IOC(国際オリンピック委員会)やJOC(日本オリンピック委員会)のあり方も問う『オリンピックの終わりの始まり』(谷口源太郎著、本体1800円+税(予価)を、ようやく10月上旬に刊行できる。昨日、著者に初校の著者校正を渡したところだ。スポーツについて、社会と政治について、根本から考える本になった。皆さん、ぜひ読んでください。

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