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高畠で3つの発見

 8月8・9日に有機農業の調査で仲間の研究者と山形県高畠町を訪れました。去年の1月以来、1年半ぶり。東京と変わらず暑かった! そして、枝豆(山形県特産のだだちゃ豆)はじめ食べものが美味しかったです。

 高畠町は、埼玉県の小川町や茨城県の旧八郷町などと並んで、有機農業が盛んなことでよく知られています。星寛治さんの著作などを通してご存知の方も多いでしょう。何回も訪れていますが、そのたびに新たな発見があり、勉強になります。今回、印象に残ったことを3つ紹介しましょう。

 第一に、町役場が有機農業を非常に好意的に捉え、以前と比べて有機農業によるまちづくりに、かなり力を入れるようになりました。

有機農業がクローズアップされたことで、町民の意識が変わったと思います。かつては、一般農家に有機農業への排除意識がありましたが、いまは一切ありません」(農林振興課の課長さん)

 行政がバックアップして、女性や新規就農者含む若者が町の農業ビジョンを話し合う「農活未来ワークショップ」を3回、開催。今年11月には、やはり若者中心で「たかはたオーガニックラボ」を開くそうです。その目的は、食べものや食べ方をとおして、生き方を考え、コミュニティを強固にしていく意識を生み出すこと。期待できそうです。

 第二に、駅から遠く、中山間地域である(つまり条件が不利な)上和田地区で、若手生産者(後継者)が増えていました。1986年に設立した上和田有機米生産組合では、組合員40名のうち13名が20代・30代です。日本の農業者の3分の2が65歳以上のなかで、この若さは特筆すべきです。他の仕事を辞めて家業を守るために戻ってきた人もいれば、大学を卒業してすぐ就農する人もいます。リーダーは、こう言っていました。

「いまの若者は価値観が変わってきたと思う。(いい意味で)物欲がない。それと、世の中に食べもの自体はあふれているなかで、親父たちが本物の食べもの(つまり有機農産物)を探求してきたことに気づいている」

 第三に、美味しくて安全な野菜は多少高くてもよく売れるという事実を改めて確認しました。旧知の渡部務さんの奥さん美佐子さんは、100品目程度の有機野菜をつくり、近くの直売所でも販売しています。務さんは「うちのかあちゃんの値付けは強気なんだ」と言っていました。直売所で見ると、確かに他の人の野菜より1~3割高い。でも、けっこう減って(売れて)いました。買い手は近所の方です。味が評価されているからにちがいありません。

高畠町亀岡地区の直売所「愛菜館」

高畠町の有機農業から目が放せません。

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