#エッセイ
土から言葉を吸い上げる
6月某日
小説の取材で新潟に行ってきた。
コロナの影響もある中、もしかしたら嫌な顔をされるのではないかなあと思っていたのだが、蓋を開けてみれば思ったより街中に人も多く、日常がすでに戻ってきているみたいで、とりわけ観光業に関わる方は皆優しくウェルカムなムードだった。
「にしかん地区って新潟の中でも全然知られてないんですよ、新潟って言ったら長岡とか、燕とか、あるいはリゾート地域とかでしょ、って言
『軽い男じゃないのよ』を鑑賞
5月某日
原宿なつきさんというライターさんに、WEZZYさんにて『ピュア』をご紹介していただく。
この記事中に出てくる「軽い男じゃないのよ」というフランス映画が気になったのでNETFLIXで見た。(日本語字幕あり)
端的に言って、とても面白い映画だった。
「見られる」ことが人を作る
3月30日
「ピュア」の白焼きを提出(白焼きというのは印刷前の最終決定版みたいなものです)。白焼きの訂正にはお金がかかる、ということを知らなかったがために、限界まで修正を入れてしまう。編集者さん、制作の方、ごめんなさい。
2020年1月のかくかくしかじか
1月1日
年が明ける。
寒いのでいわゆるパンティーの上に、ユニクロのヒートテックとタイツと毛糸のパンツを履いて出かける。
途中、カフェで尿意を催し慌ててトイレに駆け込み、スカートなので手探りで一気に引き下ろして用を足したら、なんだかだんだんお尻があったかくなってくる。
どうしたことかと見たら一枚脱ぎ忘れてた。
これが34歳になったばかりの年明けのことかと思うと情けなさで涙が出そうになる。
文フリに初めて参加した日
11月24日(日)文学フリマ。
寝坊。13時ごろ到着した流通センターは駅の構内から異様な熱気に包まれていて、ああ、こんなにも『表現したい』人が世の中には溢れているのだなあ、と改めて驚く。
プロの集まる場にはない熱気だ。
プロの人っていうのは、たとえやる気とか、愛があっても、何かのオブラートに包んで、そっと脇に取って置いているような雰囲気の人が多い。
「いえいえ、私はそんなもの持ち合わせてい
「モダン・ラブ」でアン・ハサウェイ演じる躁鬱病の女性がリアルすぎて辛い
今話題のアマプラオリジナル「モダン・ラブーNYの街角で」を見る。
30分×8話、単純な「男女が出会ってくっつくまで」の旧式的なラブ・ストーリーではなく、さまざまな形の愛情を描いたオムニバスで、1話1話が大変に濃い。
性別、年齢、立場、様々な事を超えて「愛」って成り立つんだなあ、人生って可能性の宝庫だなあ、と胸を打たれるお話ばかりなのだけど、特に私が心えぐられたのが第3話のアン・ハサウェイ演じる
困りごとと悩みごとの違い
「困りごとと悩みごとっていうのは違うんだよ」と、カウンセラーの友人が言う。
「あのね、困りごとっていうのは主題が明確で、本人も自分が何に困ってるのか、はっきりしてる状態。でも悩みごとってのはさ、
子は親が人生でやり残したことを補完するために存在する(のか)
たまに実家に帰ると母の料理センスのなさに愕然とする。なぜチャーハンに生ハムを入れるのだ。ふつうベーコンだろ。あとパクチーは汁物でもないのに生のまま加えるな。パッサパサになるやろ。ミニトマトをすでに煮終えた味噌汁に入れるな。入れるんなら煮る前からやろ。なんていうか全ての料理においてタイミングがずれてる。
もっとみる人間関係に無責任でいられることの大切さ/霊感コンプレックス
人間関係に無責任でいられることの大切さ遠くに見える富士山は、火の中で燃える炭のように赤い。山全体の木が震える音が聞こえて、ずっとかけっぱなしのラジオの声がざらざらと乱れる。
少しの肌寒さを感じる。もう直ぐ夜が来る。作陶に夢中になっていると、時間の継ぎ目がなくなって、今自分が一日のうちのどこにいるのかわからなくなる。
山梨の増穂の陶芸工房に、長いこと通っている。今も来ている。大芸術家、池田満寿男