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意外に難しい!?部下の話を「ただ聴く」ことの大切さ
以前のコラムでは、1on1で答えに詰まってしまう部下を手助けする手法として、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを組み合わせて部下の脳を揺さぶると色んな答えが出やすくなるというお話をさせていただきました。
https://note.com/onlinewebinar/n/n1f73b7fc988d
その中で、部下が答えを求めて自分の脳の中を探索し始めたら、上司は「ただ聴く」だけということもお伝えしました。本日は、この「ただ聴く」について深堀していきたいと思います。
私たちは意外に「聴けていない」
管理職やリーダーの方は、部下育成や1on 1の場面で「部下の言うことをしっかり聴きましょう」と言われた経験があると思います。
「しっかり聴きましょう」と言われて違和感を抱く方もいらっしゃるでしょう。「わざわざそんなことを言われなくても、もうすでに十分聴いているよ」という感じではないでしょうか。ですが改めて考えてみると、私たちは意外に人の言うことを聴いていないことがあります。
例えば、
疲れてボーっとしている
相手の長い話に辟易している
自分の仕事のことで頭の隅に気になっていることがある
時間がなくて焦っている
そもそも相手の話に興味がない
こんな時は、顔は相手に向いているけれど「しっかり」聴いていない状態です。
「聞く」・「訊く」・「聴く」の違い
さて、コーチング研修や1on 1の進め方についてお伝えする際、よくさせていただく問いがあります。下の3つの「きく」の違いをあなたならどのように説明されますか?
聞く
訊く
聴く
いかがでしょうか。
「聞く」は、意識しなくても勝手に音として入ってくる状態。同僚がキーボードを打つ音、オフィスの空調の音、駅のホームの雑踏など、音がさらさら流れていく感じでしょうか。その音に集中して情報をキャッチアップしたりはしません。カフェで勉強できるのは、BGMを「聞いている」だけだからです。
「訊く」は、自分のためにきく。
部下に対して、
あの仕事どこまで進んだ?
なぜ報告が遅くなった?
何回言ったら分かる?
など、自分にとって欲しい情報を手に入れる時のきき方で、相手にとっては責められている感じがすることもあります。
「聴く」は、相手のためにきく。
「聴」という漢字を分解すると分かるように、目と耳と心を十分使って聴くこと。相手の言っていることだけではなく感情を聴く。傾聴はこの「聴く」です。
部下の話を「ただ聴く」
これらの違いを踏まえた上で、皆様は部下から上手く進んでいない仕事について相談を受けた時、どんなきき方をしていますか?下記のようなことを考えながら話をきいていることはないでしょうか。
こちらも忙しいのに相談が多くて面倒だ(否定)
どうせ彼のせいで問題が起こっているんだろう(決めつける)
この仕事を彼に任せるのはまだ早かった(評価)
納期も迫っているし、私のやり方を教えよう(アドバイス)
上記のようなきき方をされた部下のモチベーションが下がることは、容易に想像できると思います。これらは全て部下から相談を受けた時にしてはいけないきき方です。
皆様におすすめの聴き方は、上記と正反対。
否定しない
決めつけない
評価しない
簡単にアドバイスしない
これらは「ただ聴く」というスキルです。
上司・先輩にあたる方は、経験もスキルも当然部下より上。部下から相談を受けた時、スピーディーに解決をしようと、つい答えを渡したくなります(アドバイスする)。
相談すれば答え(正解)をもらえることが続くと、部下は自分で考えなくなります。何かあれば、上司の答えをもらいに来て解決をするようになるということです。これでは考える力のある部下は育ちません。
部下育成でしていただきたいのは、「ただ聴く」です。
部下自身が
何が課題なのか
誰のサポートをもらえば解決に向かうのか
以前うまく行った時にはどのような方法をとったか
を考えるように、上司はただ聴くことが求められます。繰り返しになりますが、「ただ聴く」ことが考える力のある部下を育てます。
このお話を研修ですると、必ずいただく質問があります。
新入社員には無理ではないでしょうか
その通りです。新入社員や経験したことのない部署に異動してきたスタッフには、教えること・アドバイスすることは必要です。大切なのは、ある程度教えて成長をしたら、「ただ聴く」に切り替えること。このタイミングは部下1人ひとり異なりますので、部下をきちんと観察することが必要です。
ただ聴くように教えられたのでやってみたら部下は沈黙したままです。どうすればいいでしょうか。
否定、評価、アドバイス等をしないのは大切ですが、質問はしてください。
それで君はどうしたい?
今の状況をどう考えてる?
いつまでに解決したい?
など、部下の頭を整理する質問は、相手が考えはじめるきっかけになりますので有効です。
ただ聴く、良質の質問をする。このふたつを組み合わせることで、考える部下が育ちます。
ぜひトライしてみてください。
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