子どもが学習者として自立するために 『け・テ・ぶ・れ』学習方略と『UDL』多様な学び
はじめに
「宿題が楽しくなった。」「勉強が楽しい!」子ども達のそんな言葉が教室の中で飛び交います。
先週、学校全体で「漢字チャレンジ週間」というものに取り組みました。学校全体で漢字テストの日にちを決め、集中的に漢字練習に取り組むというものです。この漢字チャレンジの目的を自分の中で整理してみました。それは、「100点を目指して学習することを手段として、学習者として自立することを目的とする」です。漢字を覚えることを目的とするのではなく、テストで100点をとるためにどのように勉強するのかを「考え・実践し・振り返ること」で、自分で学習する力を身につけることを目指しました。
◯学習方略を身につける「け・テ・ぶ・れ」
子どもたちが「学習者として自立する」ために、まずは学習方法の一例を教えました。それは、「け・テ・ぶ・れ」です。子ども版、PDCAサイクルのようなものです。
【『け』…計画、『テ』…テスト、『ぶ』…分析、『れ』…練習】です。
この方法をまずは、簡単に教え、実践し、実際に小テストで全員に100点をとらせました。(こそっと何度かやり直しをさせながら)そして、「作業的に学習に取り組むのではなく、学習方法を工夫することによって、成果をあげられること」に気づかせることができました。
◯多様な子どもには、多様な学びを
学習方法の一例を教えましたが、子どもは実に多様です。それぞれの子どもに合った学びを自分たちで創っていくことが大切です。それは、自分に合った方法を考え・実践・振り返ることで身についていきます。以前紹介した、AARサイクルです。(AARサイクル…A=見通し、A=行動、R=振り返り)
【生徒AさんBさんの例】
(Aさん)ノートにひたすら書いて練習→小テストで点数がとれないことに気づく→学習方法の工夫を考える→漢字を眺めて書き順を口に出してみる→点数が上がった→書く練習と漢字を眺める時間をとる→◎簡単に覚えられるようになった
(Bさん)凡ミスをたくさんしてしまう→学習方法の工夫を考える→『ぶ』…分析の時間を増やす→間違った場所に吹き出しをつけて注意することを書き込む→◎ミスが減って100点の連続
このように、子どもは一人ひとり学習方法の工夫を考え、試行錯誤しながら自分に合った学びを身につけていきました。その方法は実に多様でとっても勉強になりました。
◯自律性と有能感を持つ
このような学習を通して、子ども達は「勉強が楽しい!」「宿題をたくさんやりたい!」と言えるようになるまで育ちました。それは、自分たちで学びの方法を選ぶことができる自律性と、実際に成果がでることで有能感を味わうことができたからではないでしょうか。
この自律性と有能感は、以前紹介した子どもが内発的動機をもつ(自分の内側からやる気になる)スイッチになります。この自律性と有能感を大切にして、これからも子ども達と共に学んでいきたいと思います。
子ども達は本当によくがんばりました!結果がどうであろうと、漢字テストの点数が子ども達のベストを尽くした結果だと思います。その努力、過程を十分に認めていただければと思います。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。今週も頑張り屋さんの子ども達に囲まれて幸せいっぱいでした。
参考文献
「けてぶれ宿題革命」、葛原祥太、2019,「授業のユニバーサルデザイン Vol.2」桂聖、石塚謙二、廣瀬由美子、小貫悟・一般社団法人 日本授業UD学会、2020,
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