「自然に親しむ」授業とは、どういうことなのでしょう?

昨日は宇治市の小学校で里山体験する「総合的な学習の授業」がありました。ここの学校はもう10年以上に渡って生徒を先生が徒歩20分ぐらいかけて「里山」に連れて来て「自然を体験する」ことを学ばせてる授業をしています。

私は先生ではなくて、その宇治市の小学校の近くにある「里山」を手入れしているボランティアの一人で、この授業がある日にはその里山に出向いて子ども達の相手をするという役割です。そういうボランティアが他に10人ぐらいいます。

里山体験授業の内容は緩いものです

原っぱや森を案内して、そこで何か面白いもの見つけたら、里山の地図にそいつを記入することを毎年やっていて、他に竹を切り倒したり、その竹でおもちゃ作ったり、干し柿を作ったり、そこらへんに生えている雑草で花束作ったりと、そういう内容なので、最初は私も『これでいいんかなぁ』と思いました。あんまり授業っぽくなくて、生徒は遊びの時間みたいだからです。

昨日も原っぱと森の探検をしました。
最初は整列してガイド役の私についてきた子ども達はだんだんエンジンがかかってきて、勝手に原っぱを走り回ってバッタ探すようになり、池のところに来たら2,3人の子が男の子も女の子も網持って泥だらけになってカエルとイモリを捕まえ始めました。別の子数人は地面に生えているベビイチゴにすごい興味を持ったみたいで、これ食べられるのか?どうか、味はどんなのか?と聞いてくるし、カエル&イモリ組の子ども達は、もっと池の中に入っていいか?とか言ってくるし、これはもう「先生が教える、生徒は習う」式の伝統的な授業の様相ではなくなってしまいました。

それで、カエル&イモリ組の子ども達はシャツと長靴を泥だらけにしてカエル1匹イモリ3匹の収穫を揚げ、ヘビイチゴ組の子ども達は「毒は無いけど味はまずいから・・・」と言ったけど結局味見をして、ある子は「味がしない」といい、別の子は「思ったより美味しいやん」と感想を書いていました。

あんまりそんな事ばっかりやっていられないので、今度は竹やぶに連れて行きました。いつもはここでシイタケの栽培の説明なんかをするのですが、昨日は竹やぶの斜面に竹の落ち葉がいっぱい積もっていました。そこで偶然、引率して来た学校の女性の先生が「別の班の子ども達、ここで滑って遊んでいたわよ!」と話したのを聞いた子ども達は、即!俺たちも滑って遊びたい!と言い出したから、私は付和雷同的に「じゃ、そうしようか」と許可しました。

あいにくシイタケ栽培の場所へは落ち葉せ滑って行き難いし、行ったところでシイタケはもう生えていない季節だから「ま、いいか」と思ったわけです。

最初はこわごわズリズリ滑って遊びだした子ども達は、しだいに遊びのエンジンがフルパワーになり、転げ回って滑る過激な遊び方まで披露し始めました。10分ぐらいそんな遊びしていたら、別の班のところに行っていた担任の先生が戻って来て、生徒に「誰かここで遊んでいいって言ったの?」なんて聞き始めたから、私は怖くなって「じゃ、もう時間だからオシマ~イ」と声かけざるを得なくなりました。

昨日の里山の授業は、ウチの班はいつもよりタガが外れてエキサイトしたと思います。私もそれを許してしまいました。怪我した子はいませんでしたが竹やぶ遊びはちょっと心配でした。想像以上の遊び方しました。男の子も女の子も。

今回は授業として、ちょっとまとまりつかなかったかと内心反省していたけど、そうでもない?か

一人の男の子が「里山の思い出になった!」って私に語ってくれて、どうもそうとう楽しかったみたいです。

そのあと、大きな模造紙の地図に、今日里山で見つけたものを書き出す「まとめの時間」をやったのですが、いつもに比べて多量の「見つけたもの」が列挙されました。我が班のまとめの模造紙を見たら、ヘビイチゴの味とか、捕まえたから注意のつもりで教えた「イモリには少し毒があるから、触ったらあとで手を洗ってね」も、ちゃんとそこに書いてありました。

よく書けたな!と思いました。竹やぶ滑って楽しかった思い出が、もしかしたらこの日の観察(先生は取材って言ってました)に頭の中でリンクされて、よく記憶に残ったのかも知れません。

ベビイチゴの味とか竹の落ち葉が滑りやすいことは受験には出て来ないですが、将来こんなことが何の役に立たないとも限りません。それに加えて、やっぱり楽しいと他のこともたくさん記憶に残っているんだ!ということが昨日の、けっこうメチャクチャな授業で分かりました。こういう授業を学校が続けている理由は、はっきり聞いたことはありませんが、PTAも含めて「それがいいことに思えるから」なのだそうです。私は子ども達が自然を大事にする精神が生まれたらいいな、と思うわけなんですが、昨日の授業でその目的に向かってうまく出来たのかどうか分かりません。

分かりませんが、とにかく楽しい思い出にリンクされた里山の生き物やモノが記憶に残ったようなので、なんだかまとまり無かったけど、教え方のヒントが見つけたみたいな気がします。

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