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日記とエッセイ

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僕のエッセイです。
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#日常

エッセイ:さて。一輪車などについて

エッセイ:さて。一輪車などについて

 僕は、いま、「私は」という気分だ。
 なんと、作文において一人称は書き手の自由だ。ともすれば、この文章を「私は」で書き綴ることもできてしまえる。
 しかし、それはしない。なぜなら僕は節度というものをわきまえているからだ。
 あるいは、わきまえていたいと考えている。

 いまさっきアリス・マンローの短編を二つ読んだ(「日本に届く」、「砂利」)。話を読んで、顔を上げて書き始めた。
 読んでいたとき、

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妄想と通信#1 「半額の蕎麦」

妄想と通信#1 「半額の蕎麦」

***
眠りても 
我が内に潜む森番の 
少年と古きレコード一枚
――寺山修司

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 僕にはデートの予定があった。12時からのデートの予定だ。グーグルは奇妙な魔法のように電車の到着時刻を教えてみせた。「11時50分」
「11時50分まえには着くみたいだ」
 僕はそうLINEした。
 しかし、11時50分、僕はまだ電車の中にいた。広い庭や畑がちらほらとあり、白い砂の空き地や、文化住宅の並ぶ街並

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