大学生「カツカレー食べたいけど金がない。それなら・・・・・・・ッ」
大学生活にも少し慣れた4月下旬の金曜日。
週末の夕食なので、奮発して少しいいものを食べたい気分だった。
無性にカレーが食べたくなる。
昼、学食で大盛りのカレーを食べている人を見かけたからだろう。
ただ、食べるならカツカレーがいい。
カレーはおいしいのだが、“主役”がない。
ラーメンにはチャーシューがあり、
ホットドッグにはソーセージがある。
カレーにカツを加えることで、“本尊”が生まれ、ビジュア的にも豪華になる。
ただ、近所にあるカレー屋のカツカレーは、1050円である。
それを注文できるほど、財布に厚みはない。
そこで製作するのが、レトルトカツカレーだ。
スーパーで、レトルトカレー【98円】とトンカツ【398円】を買う。
あとは家で炊いた白飯を使えば、500円前後でカツカレーが楽しめる。
ある意味、錬金術である。
帰宅した。
とんかつは、オーブントースターで温める。
決して電子レンジを使ってはいけない。
気をつけろっ!
やつは、衣をクタクタにしてしまう。
トースターを使うと、揚げたての頃のようなサクサク感を取り戻すことができる。
サクッとしたトンカツは、包丁で幅2センチ弱ほどに切っておく。
白飯は、冷凍しておいたものを電子レンジでチンする。
レトルトカレーは鍋を使って温める。
それぞれが熱を持ったら、盛り付ける。
盛り付けは精密機械を扱うように行なう。
楕円形の皿に、ご飯を平らにして敷き詰める。
切ったカツをごはんの上に隙間なくキチッと整列させる。
そして、この点が最も大事なのだが、
カレーのルーをかけるときは、カツの上にそっとかける。
生後一か月の赤ちゃんに、毛布をかけるように。
それぐらい、丁寧に、心を込めて。
カツ全体にかけるのではなく、半分だけかけるのが好ましい。
そうすれば、揚げ物の食感を楽しむこともできるし、カツとカレーとの調和を味わうこともできる。
完成したら、早速食べる。
まずは、カレーソースとご飯だけで食べる。
98円のレトルトでも十分うまいから、やはりカレーという食べ物の性能は高い。
カツを含めて食べようとするのだが、スプーンでカツを切るのは難しい。
下にあるご飯がクッションとなってしまうからだ。
「仕方ないよな」
と言い訳して贅沢にカツ一切れを口の中に放り込む。
カレーソースがかかり衣が柔らかくなった部分と、何もかかっておらずサクサクした部分が口中で混ざり合って無言で味わってしまう。
まだカツが残っているうちに、カレーつきのご飯も口に入れ、
の三位一体攻撃を存分に受け入れるのが幸せなのであった。
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