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岳物語

椎名誠 1989年

概要
山登りの好きな両親が山岳の岳から名付けた、シーナ家の長男・岳少年。坊主頭でプロレス技もスルドクきまり、ケンカはめっぽう強い。自分の小遣いで道具を揃え、身もココロもすっかり釣りに奪われてる元気な小学生。旅から帰って出会う息子の成長に目をみはり、悲喜こもごもの思いでそれをみつめる「おとう」・・・。これはショーネンがまだチチを見捨てていない頃の美しい親子の物語。(本作後ろより引用)

感想
中学生の頃、国語の授業で椎名誠さんの作品を読んだ記憶があります。その時に、先生がこの本を薦めていました。当時は読まなかったのですが、先日、図書館に行って本を探しているときに見つけて、久々にこの名前を見て懐かしくなったので借りてきました。

この話はその名の通り、椎名さんの息子さん、岳君の成長過程が綴られております。幼少期の頃から、小学校高学年ぐらいまでの記録のようです。途中から思春期を迎え、徐々に自立して一人の人間として成っていく姿が描かれています。お父さんである椎名さんは、旅行家で隔地や未開の地によく出かけてしまいます。2,3か月家を留守にすることも多く、息子さんと過ごす時間は少なかったそうです。そんな中、帰ってきてから、次の旅行までに少し時間があり、親子は、静岡県の伊豆に行きます。息子はそのころ、釣りがものすごく好きで自分で本を買ったりして、研究をしていました。なので、お父さんは全然ついていけず…。

また、旅行をして、帰ってくるたびに、息子の出迎え方が変わっていっているという所も、とても印象的なところでした。日々大人に向かって着実に成長していく、岳君の姿がここでは読み取れます。

家族と過ごす時間は本当に尊いものです。ある程度、歳をとってしまってからでは、それを逃してしまうかもしれないです。子どもの時の記憶は、歳を重ねても、なくなる事のないものだと思います。自分は、今までそれが出来ていたのかこの本を読み終えた時に考えました。そして、この本は、そんなことを気付かせてくれる本でした。また、自分が親になった時に、子どもにどのように接して過ごしていくのか、考えることの出来る一冊でした。今一度、家族をはじめ、人との接し方についてよく考えていきたいと思う一冊でした。

また、続編として『続 岳物語』もあるそうなのです。来年あたりに、こちらの方も読みたいと思っています。

書籍情報
この作品は1985年5月、集英社より刊行。1989年9月、集英社文庫から文庫化されて刊行されました。


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