推し、燃ゆ
宇佐見りん 2020年
・感想
2020年に刊行された本です。このアカウントを始めたころからずっと気になってきた本でしたが、買う機会があっても別の本を買ったり、お金がなかったりを繰り返して、気づけば2年経っていました。今年に入って、文庫化され、手頃な値段で購入できるようになり、遂に買うことができました。
著者の宇佐美りんさんは1999年生まれの24歳だそうです。若者らしさがあり、インターネットやSNSでの繋がりが鮮明に描かれている令和の文章だと感じました。(まさか、自分と10歳も離れてないなんて)
好きな芸能人などに対してファン活動する推し活。誰もが一度は経験したことがあるでしょう。反社会的な行動をとり炎上しても、推しを許せてしまう。「その人さえ生きていれば、私はいいんだ!」一言で表すとそんな感じがします。しかし周りと価値観を共有できない、「反社会的な人を推す人ことで、自分も頭のおかしい奴のような扱いを受け、拒絶されたり、排除されてしまうかもしれない。」というようにも感じ、なかなか難しいところだと感じました。
読後、「これが自分の立場だったらどうなんだろう。」と考えました。
通常時の何の思い入れもない時ならば、「そんな危ない人に関わるなど、もっての外だ。」 と思うはずですが、推しがいる人は大体が、「好きだからその人を許せてしまう。そのためなら、周りから拒絶されようが別に構わない。」というようになってしまいそうな気がしました。これはあくまで私個人の考えですが、一種の洗脳状態ともいうべきかもしれません。そう考えると怖いものですよね。
また、その人が引退したり、亡くなったりしたときの「もう推す相手がいない」というその時の損失感は溜まったものではないなと思いました。
でも、推し活ってやっぱり楽しいですよね。お母さんが、ある歌手のファンなのですが、その人の載っている広告の写真を撮るために遠くのショッピングセンターに行ったりしていて、とても楽しそうでした。私は推し活を否定したくはないです。私もあまり言うのは恥ずかしいですが、好きな芸能人はいます。(まあ、このくらいにしておきましょう…💦)
結局は推し活をする人たちによって、芸能や文化も動いているんだなぁと感じました。
160ページと、少し少なめではありましたが内容が濃く、考えるところの多い話でした。
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