(公務員の仕事)令和6年度当初予算は、賃上げの後押しが全体テーマ
(R6.7.21追記)令和6年度に入り4カ月が過ぎましたが、物価高騰は継続していて、支出増に見合う賃金アップが求められる状況は、ますます当たり前のことになりつつあります。
先日、島根県庁の令和6年度当初予算要求の概要が公開されました。
今回は、この島根県庁の令和6年度当初予算のうち、商工労働部の予算について、要求を組み立てるときに、大事にしていたことを書きます。
https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/zaisei/yosan/yosanr6/r6gaiyou.data/r6yosanangaiyou.pdf
まず、令和6年度の予算には、県庁全体として、大きく2つ柱があります。(1)物価高騰への対応と(2)島根創生計画(島根県の総合計画)の実現です。
商工労働部の予算についても、この柱に沿った考え方になります。
その中でも、物価高騰対策については、物価高騰に対する企業の負担を軽減するとともに、物価高騰に見合うだけの企業の賃上げを後押しすることが重要になると考えます。
というわけで、
今回、実現したいことは、県内企業の賃金アップの後押しです。
賃金アップの実現のためには、企業がそういうことをできる状態にならないといけません。ただし、行政は、企業の賃金を上げることを直接には実行できません。
そのため、企業が、新たな稼ぎを増やしたり、コスト削減を実現し「収益アップ」することができるように、経営改善に効果が期待できる設備投資を支援することで、賃金アップの側面支援を図るという考え方を取ります。
○エネルギーコスト削減効果の高い設備導入支援
○生産性向上に資する設備導入支援
○観光地・観光施設の高付加価値化の支援
○企業のDXを促進するための支援
このような支援策が主な事業となります。
※令和5年度補正予算の令和6年度執行含む
前にも使った下の図の真ん中あたりにある「収益UP」⇒「賃金UP」につながる仕組みの実現のため、企業を支援することを予算の柱に据えました。
賃金アップ実現のため、別の方法がないか、考えられました。
一つは、世の中の人件費や物価の上昇にあわせ、島根県の施設の維持管理費などの委託料や指定管理料を増額し、県と直接関係のある県内企業の賃金引上げを促進すること。
これについては、県庁全体で予算措置し、実施していく方針が出ました。
もう一つは、賃上げを実施しようとする企業が、人材育成や職場労働環境の整備などの取組を行う際に補助金を出すことで、賃上げを後押しすること。
この2つめについては、部内で検討してみましたが、一定の補助の見返りに賃上げを企業に直接的に求めることは、負担と便益のバランスが悪すぎ、合理的ではないと考え、予算化はしませんでした。
まとめ
商工労働部の予算担当として、賃上げという大きな課題設定やその対策の検討に関わることができたのは、その実現に行政がどう関わることができるのか、限界を感じることもありましたが、いろいろな視点から事柄を考えることができ、良い経験になりました。
実際に事業が始まる来年度に入ってからも、より効果的な方策が見つかれば、それを予算化する方向を考えていければ、と思います。
(参考)
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