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「痒いところに手が届く」ブランド戦略【第1回利益につながるマーケティング】

本記事はエイドリアン・スライウォツキー著「ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか」をマーケティングに応用した内容となっています。

利益アップにつながらなければブランディングに価値はない。今回から全20回、「利益を生み出すブランディング」というタイトルで、利益につながる実践的なブランディング手法を紹介していきます。

第1回は「顧客を知ることが利益のはじまり−顧客ソリューション利益モデル」に基づいたブランディングを紹介します。
顧客ソリューション利益モデルとは、要約すると
①顧客を知ることに時間とエネルギーを注ぐ
②得た知識で顧客固有のソリューションを開発する
③短期の損失よりも長期の利益を実現する

という3つで構成されています。これを現代ブランディングに落とし込んで説明します。特に2番目が大切なので、全部読めない方もそこだけ読んでいただければと思います。


痒いところに手が届くブランドに

ブランディングの方向性は様々ですが、今回の顧客ソリューション利益モデルをブランディングに応用すると、「顧客が本当に欲するソリューションを提供してくれるブランド」を目指すということにあたります。
顧客が本当に欲するソリューションを提供してくれるブランドで、何か良い例は思い浮かびますか?
例えばダイソーは100円ショップの中の1ブランドですが、様々なアイデアを取り入れた新商品が毎回大きな話題になります。これはダイソーが顧客の意見を徹底的に取り入れ、商品開発を実行するというスキームを完成させているからです。
よく「本当に必要な商品は顧客も知らない」と言われますが、顧客が欲しがるものを徹底的に提供するブランドにももちろん価値があり、立派なブランドとなります。


SNSを顧客を知る場として活用する

顧客を知るために実行すべきことは何でしょうか?インタビューやアンケートが考えられますが、無作為に選んでは無知の消費者の意見も反映されてしまい、既存ユーザーのみでは偏った意見となるため、ある程度商品カテゴリーに興味があり、尚且つその商品を知りすぎていない必要があります。
そこで2022年現在、最も効果的な手法の一つがSNSを用いたアンケートやインタビューの実施です。
SNSアカウントのフォロワーは商品カテゴリーに興味がある場合が多く、商品購入者というわけではありません。顧客を知る手段としてかなり優秀な環境です。
したがって、「痒いところに手が届く」というブランディングを達成するためには、SNS運用を単に見込み客を増やすという目的のみならず、「顧客を知る場」として構築していく必要があります。
具体的に取り組む施策としてはSNSアカウント自体のブランディングにもなりますが、
アンケートやご意見募集を頻繁に実施するアカウントであると認知してもらう
という戦略が大切です。具体的に説明します。


アンケートやご意見募集を頻繁に実施するアカウントであると認知してもらう

単発でアンケートを実施しても、フォロワーとしては「回答が搾取されているのではないか」と感じ、高い回答率は期待できません。
普段からSNSでアンケートを実施したり、他媒体(他SNSやWEB、リーフレット等)で
「こちらで質問募集やお悩み相談も実施中!」
という形で該当SNSを紹介し、フォロワーが回答しやすい環境を作る
のが大切です。

このようにSNS自体に「気軽にブランドに質問や相談ができる場所」というブランディングをしてあげることで、最終的な「痒いところに手が届くブランド」を達成するために必要不可欠な「顧客を知る」という目的を達成しやすくなります。


顧客と向き合っていることを認知してもらう

顧客を知るという段階を達成した後、顧客ソリューションモデル②「得た知識で顧客固有のソリューションを開発する」という段階に入ります。
ここはブランド戦略以外の要素も大いに影響しますが、ブランド戦略ができることは
「顧客と向き合っている事実を広める」
ということです。例えばSNSマーケティングやLP、広告クリエイティブで
・顧客との対談動画
・顧客アンケートの結果公開

といった施策を行い、企画や商品開発過程において顧客の意見が大いに活用されている事実を知ってもらうことが大切です。


短期の売上UPに走りすぎない

ビジネスの観点から売上がで続けないとブランディング活動を継続できませんが、ブランド戦略はある程度長期的な視座をもち、長い目で見た利益を最大化させることを意識する必要があります。
例えば先にあげた「顧客を知る場としてのSNSの活用」は、実際に顧客の声をソリューション開発に生かせるくらい手に入れる環境を作るには1年ほど運用し続けることになります。
その後の「顧客と向き合っている事実を広める」という段階でもまた、半年〜1年かけてじっくりと浸透させていく必要があります。
人間の認識の変化は多くの場合、劇的には起こりません。少しづつ時間をかけて、人間のライフサイクルを考慮した長期的な戦略を立ててください。


まとめ

今回は顧客ソリューション利益モデルに基づき、利益につながるブランド戦略である「痒いところに手が届くブランド」を構築するために必要なポイントを紹介しました。
・SNSを顧客を知る場として活用する
・顧客と向き合っていることを認知してもらう
・短期の売上UPに走りすぎない

顧客を知ることができる環境を作り、顧客主導でソリューションを開発していることを周知させることで、いわゆる「便利なブランド」というブランディングに成功できます。ぜひ実践してみてください。

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