マガジンのカバー画像

106
運営しているクリエイター

#雨の日をたのしく

詩 ガラスの向こうの

詩 ガラスの向こうの

雨降り
駐車場
わたしのもうひとつの部屋
雨から守ってくれる
ガラスの向こうの景色がゆがむ

昨日の人の顔を思い出す
わたしたちと喋ってたけど
ほとんどもうひとりの方見てた

合わない目線を追いかけて
合わない空気に笑みを浮かべて
合わない温度設定が
わたしの頭ボーッとさせてく

今日はエアコン
入れなくても
ちょうどいい温度
まだまだ居場所を探せるね
雨よ
どんどん降ってくれ
薄い車体に打ち付け

もっとみる
詩 雨雲と傘

詩 雨雲と傘

晴れた空に
油断していた
振り向くと
向こう側で雷雨

雲はもうそこにあり
子どもたちは
公園からいなくなった

わたしは近くの
カフェで雨宿り
ティーラテひとつに
ガレットひとつ

窓辺のソファ席
深く腰かけ
外を見ながら
大人の贅沢
味わってる

今こうして
雨を避ける
屋根を買った
甘いものを口にする
権利を買った
リラックスした時間を過ごす
ソファを買った

避けるもの
たくさん買えるのも

もっとみる
詩 おめかし

詩 おめかし

駐輪場のハンガーが
おめかしする日

髪についた水滴
振り払いながら
いつもの場所へ

急ぎ足は
水たまりの水しぶき
ステップ軽やかに

水滴が乾いた頃には
くるくると
踊っている毛先

部屋の外
静かに騒がしく
音楽は続いている

おめかしして
ステップ
踊っている
音楽と

今度はいつだろう
どうせまた
踊るのだから
おめかししなくちゃと
ハンガーと約束する

詩 小雨と自転車

詩 小雨と自転車

制御できないから
雨は何かを
教えてくれるような
気がしてる

小雨の中
自転車を漕ぐ夜
どうせ帰ったら
すぐにお風呂に入るから
すべて洗濯するから

まだまだ
漕いでいたい
湿気でごわつく
髪を一つに結び
顔の雨をはらって
また走り出す

タイヤはくるくる
まわるだけ
それでも確かに先にいる

雨の中でも
漕げばただ
進んでること
忘れぬように

今日も明日も
生活は滲みながらも
前進してる