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#日記

詩 そらのびる

詩 そらのびる

もわっとした空気に
うとうとうと
慌てて非常階段へ

都会の空は
狭いはずだった
けれど今日は
ビルとビルの間に
空(そら)のビルがある
狭い空間を突っ切って
どんなビルより高い

こうして
都会のなかで
大きな自然を
くりぬいた

詩 揺らめき

詩 揺らめき

朝の光
雑貨屋さんで
見つけた指輪
わたしの指で
きらきらひかる

冬の間の
低い日差しを
集めるように
わたしに届く

光の届く場所に
いれば傷んでくるけれど
お気に入りを
身につけていたい
日の当たる場所
傷ついても
探している

きらきら
とても
美しい
色には
あらわせない
心のなかの色が
また揺れて

詩 庭園

詩 庭園

形のちがう石を
渡って歩く
向こう岸までは
もうすぐか

鯉にえさを
あげる人
楽しそうにしてる

ひとつずつ
ひとつずつ
途切れながらも
次がある

よく出来た橋よりも
趣のある形を
渡りたい
楽しそうだからと
選べるうちは
選んでる

向こう岸に
辿り着くまでは
不安定の美しい
調べにのせて
軽やかに

詩 塩キャラメルアイス

詩 塩キャラメルアイス

重厚な建物の
都会的なカフェで
向き合って食べる
塩キャラメルアイス

いつまでも
こうして
女友達と
カフェの片隅
飛んでく会話と
笑顔の時間
抱きしめていたい

いつか
迫ってるような
変化に伴う
終わりのとき

周りの人々
見ては想像して
できるだけ
笑顔でおしゃべり

キャラメル味じゃなく
塩キャラメル味

しょっぱい思いをしつつも
休みの日はカフェで甘いものを
甘さがひきたつこの日々は

もっとみる
詩 宇宙のかけら

詩 宇宙のかけら

ぱらぱらと
暗闇に
響く拍手

星が降ってきてる
みたいだと思った

どんなものか
知らないけど
聴いたことないけど
見たことないけど

でもどこかで
知ってるような
気がしてる

現実よりも
たくさんのこと
心がこうして

宇宙の中にいる
ぽつんとしたもの

宇宙の中にいる
ちいさなかけら

きっと何かを
思い出すために
生きている
美しいひととき

詩 風にゆらめく

詩 風にゆらめく

カーテンの丈
少し足りてないけど
今のところ
困ってないよ

失敗も
愛嬌にして
暮らしに
どうにか光を
もたらしていたい

自転車に引っ掛けた
ワンピース
石けんで
丁寧に洗えば
ほんの少しずつ
きれいになってく

一生懸命
時間をかけて
今あるものを
諦めないために

失敗も
愛情にして
暮らしに
どうにか光を
もたらしていたい

風にゆらめく布きれが
柔らかに
続いていく
イメージの中で

詩 喫茶店の小さなテーブル

詩 喫茶店の小さなテーブル

喫茶店の
小さなテーブル
紅い椅子
グラスを伝う
クリームソーダのアイス

おとぎ話
だけでは生きて
ゆけない

それでもおとぎ話の
続きを描いて
笑いあうこと
これからも

余白の使い方
大事にして
生きていきたいから

グラスの奥に
残る余韻は
カラコロと
名残惜しい音を奏でる

またいつでも
語らおう
小さなテーブルは
心が主役の
大きな舞台