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バカボンの兄 詩集

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詩の末尾に初稿を書いた年月を付していますが、note投稿にあたり加筆しています。投稿後の加筆もあり得るので、ご了承ください。
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#クオリア

詩/コイン

コイン

見えているこの感じ
聞こえているこの感じ
触れているこの感じ
この感じの全てが
私だけのクオリアであることから
世界は私の反映である、
それを、世界は私であるとも言い
世界には私しかいないとも言う
その時
私が私である必要性が消失する

髪の毛の一本一本から
心臓から
思い出から
何から何まで全て与えられた

私すら、
私というこの感じすら
借り物である
その時、

私を嫌いなあなたも同

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詩/対立

対立

上限は神で、下限も神で
神だけが現前していた
沈黙とは常に神の沈黙だった

この意識が、神そのものだった
この世界が神だったのだ

世界は色づいておらず
白黒かどうか
明暗があるのかどうかさえ分からない
そもそも色彩の概念がない
目を持つものを通して初めて
そこに
着色されたクオリアが浮かび上がる

だからと言って、僕らは
むき出しの世界には触れられぬのだと嘆くな
この肉感こそが
僕らにと

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詩/風景について3

風景について3

公園のベンチで一服
昨夜の夢が思い出される。
アボリジニのように僕は
夢も体験として重用する

誰が描いたというのか、
その夢の中で
意識こそが世界の素材そのものだった

クオリアの外に出たいと
ずっと思っていた
意識の内にある世界に
客観的な外があることなど
どうしたって証明できないのだと
ずっと思っていた
でも、そもそも外などなかったのだ

蝉時雨に汗ばむ
鼻先が視界に入らぬ

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