詩/対立

対立

上限は神で、下限も神で
神だけが現前していた
沈黙とは常に神の沈黙だった

この意識が、神そのものだった
この世界が神だったのだ

世界は色づいておらず
白黒かどうか
明暗があるのかどうかさえ分からない
そもそも色彩の概念がない
目を持つものを通して初めて
そこに
着色されたクオリアが浮かび上がる

だからと言って、僕らは
むき出しの世界には触れられぬのだと嘆くな
この肉感こそが
僕らにとっての真実だ
その本性が、電子と電子の反発であろうと

対象のある世界と対象のない世界が
肉体を通じて
一つに重なり合っていた
言葉は世界に染み出ているので
私を通して出る言葉と
あなたを通して出る言葉とは等価だった
だから誰をうらやむこともなかった

我々は一つの命の別々の表れ
敵はどこにもいない
無我ゆえに
相手の悪意の矢が当たる的はないのだし
あなたが悪意を放つ相手もいない

あなた方の聖書に
そう書いていないとでも言うつもりですか

2023年10月

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