詩/コイン

コイン

見えているこの感じ
聞こえているこの感じ
触れているこの感じ
この感じの全てが
私だけのクオリアであることから
世界は私の反映である、
それを、世界は私であるとも言い
世界には私しかいないとも言う
その時
私が私である必要性が消失する

髪の毛の一本一本から
心臓から
思い出から
何から何まで全て与えられた

私すら、
私というこの感じすら
借り物である
その時、

私を嫌いなあなたも同じ借り物なのだ
あなたがどれほど自分を売り込もうとも
誰もいない
世界は一つのものからできている
これがコインの裏だ

表からは
どうしたって裏を見ることはできない
でも
コインの裏と表は
常に同時に存在している
条件が整うと、同時に見える

その条件を
進化と呼ぶ人もいる

青い、という言葉は、青くない
言葉ではどうしたって届かない
矛盾を矛盾と言い立てる前に
僕は謙虚さを身に着けなければならない

2024年6月

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