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"病気"のおもしろさとプロデューサーの気概。

 最近テレビドラマをあまり観れていない。と、気づいたのは番組プロデューサー・佐久間さんのANN0を聴いてるときだった。ラジオ放送内の挿入歌のせいで、ふと観直したくなったのが『SICKS〜みんながみんな、何かの病気』だった。

 その感情のままに隙間を縫って観てみると、最後に観た3年前にも感じたかもしれないけど、クスリと笑えるのは当然ながら、社会風刺が利いてるし、ホロリとする場面も何箇所もあるしで、普段なかなか思わないけど「これはみんなにも観てほしいやつ」と勧めたくなる番組だったことに気づく。

 あ、先走っちゃったんすけど、 SICKSは2015年にテレ東で深夜に放送されてたコントドラマです。

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 芸人のおぎやはぎ、オードリーの4人が中心に、今をときめく女優岸井ゆきのや、今は出家した清水富美加なども出演していた。「バズりたい病」「撮れ高病」「レビュアー病」「フルボッコ病」「晒したい病」など登場人物はみんな何かしらの病気にかかっていて、それが”SICKS”という薬の影響もあり、それを開発したのがまさに病気を患ってる小木や矢作たちで・・・・・・というような物語。

 最初だけ観ると、いろんなコントやってるなー、という感じなんだけど、最終局面に向けてすべてのコント(登場人物たち)がつながる展開になっていて、話が進むほどにややシビアになっていく。後半とか、血吐くシーン炸裂で、そこだけ観た人はドラマなんて思いにくいかも(笑)。


 個人的な見どころとしては、”大根役者”で有名なオードリー若林(ガチ恋病)が、AV女優なのに処女と言い張る岸井ゆきのと涙目で「処女だッ!」と叫びながら抱き合うシーン。若林の大根感は定評通りなのに、そのストーリー(人物背景)に飲み込まれているせいか、岸井ゆきのが演技がよすぎるのか、はたまた台詞回しがいいのか自分でもまだ把握はできないのだけど、まさかのこちらも涙!であった。

 3年前にも泣けたが、2巡目の今回も泣けた。で、笑いながら、泣けた。オードリー春日の番組企画なプロポーズシーン(若林が鼻水垂れながらサプライズ登場するところ)がまさに”笑えて泣ける”というやつだったけど、同じようなかんじ。これってありそうであまりないシチュエーションだと思う。

 今回の気付きとしては、じつは売れる前の(2018年M-1決勝に進んだオードリーの後輩芸人)トム・ブラウンがちらりと出演していたこと。同じ佐久間さんが手がけたコントドラマ『ウレロ☆未確認少女(2011年)』からのウレロシリーズもそうだけど、基本彼が関わった番組には、今旬な人がたくさん出演している。ここらへんは、ぜひ観てみてほしい。

 で、思うのが、佐久間さんって、バラエティ番組『ゴッドタン』でハライチ岩井の腐りっぷりをおもしろがってるように、”売れそうな人”を起用してるんじゃなくても、「もともと光る(いじれる)ものを持っている/磨けそうな人と一緒に仕事をしよう」とか「このおもしろさを共有したい(そのためにはどんな企画にするといいんだろ)」とかを考え続ける気概のある人なんだなぁ、ということ。

 テレビは観るだけでもおもしろいけど、その裏側にあるものをかじれるようになると2倍以上もおもしろくなる。

 まとめとしては、芸人を中心としたエンタメ(と芸能人)愛がすさまじい佐久間さんのラジオも聴いてみてください。というテレ東の回し者になったような気分で締めさせてもらいます。またのご贔屓を。


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