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ステロイド減量3回目(プレドニン17.5mg→15mg)

眠い!

待合室で待つ私を強烈な睡魔が襲っていた。

ここ最近本当に眠い。眠さで生活に支障が出るほど眠い。眠さを感じないのは、筋トレしている時くらいじゃないかというほど常に眠くって、だからと言って夜眠れるわけでもなくて、すぐ寝付いたとしても一度目覚めたら最後、そこから2時間は眠れず、気づいたら少し寝て起きての繰り返しで、結局はほとんど眠れてなくて、昼間にまた眠くなってが繰り返されて、昼間は寝ないぞ寝ないぞと言い聞かせながらも倒れてしまって結局寝てて、そんなこんなで、こんな感じの支離滅裂な文章が物語る、まさにそのままの睡魔が常に私を襲っている状態が続いている。

8月28日は、自己免疫性肝炎の通院日だった。

この日の待合室でも強烈な睡魔が私に襲い掛かかってきて、私は椅子でうたた寝てしまっていた。

はっ!

名前に反応。寝ていた自分に気づくと診察室へと向かう。

「今日の数値はここね。」

診察室に入ると先生は早速採血の結果を見せてくれた。

まだ頭がぼーっとしている。寝起きの私は理解力が乏しい。せっかく先生に相談する内容もまとめていたのに、睡魔ですべてが吹っ飛び、検査結果ですら、どの数値を見ていいのか戸惑うほどだった。

必死に自分を呼び覚まそうとする。起きろ、起きろ。

ふと先生を見ると、ご満悦の様子だ。

そしてすんなりと、明日2020年8月29日から、プレドニン15mg(朝食後プレドニン5mg*2錠+昼食後プレドニン*1錠)へ減量することがが決定した。

私の頭はまだ睡魔と闘っている。減薬も現実なのか夢なのか、判断おぼつかない状態がちょっとだけ現実に戻ってきたころ、改めて検査結果を見る。

白血球数: 10.1
赤血球数: 4.51
ヘモグロビン: 14
ヘマトクリット: 42.4
MCV: 94.1
MCH: 31
MCHC: 32.9
血小板数: 208
PT: 9.5
総蛋白: 6.3 L
アルブミン: 3.9
総ビリルビン: 0.9
直接ビリルビン: 0.1
AST: 14
ALT: 20
乳酸脱水素酵素: 123
アルカリフォスファターゼ: 165
γ-GTP: 20
コリンエステラーゼ: 151 L
中性脂肪: 67
グルコース: 103
ALBIスコア: -2.53
ABI grade: 2a

すごい。

思わず外に飛び出してしまいそうだった心の声を必死で止めた。今さらAST、ALTがいい数字になっていると理解したなんて先生に知られた時には、今まで何してたんだって思われかねない。間違っても睡魔と闘ってましたなんて言えないし。だからこそ、この嬉しさをぐっとこらえつつ、冷静に減薬を喜んだ。

プレドニン 25mg*7日 → 20mg*10日 → 17.5mg*28日 → 15mg*…

ついに15mgまできた。通常生活に戻れるかの基準10mgまであと5mg(ミリ)。

ここからが本当の闘いなのかもしれない。でも私負けない。

私負けない?

寝起きゆえ、通常時にはでてこないような臭い言葉が心を駆け巡る。自分でもよくわからないので、このテンションは放っておこうと、再び冷静に戻ろうとする私。

用意していた質問事項を思い出し言おうとした瞬間、やはり謎のテンションが顔を出してしまう。

「先生、眠いんです。」

プレドニンの減薬とともに処方箋の登録をしている先生に、思わず私はこんなことを言い放っていた。そりゃね、睡眠導入剤も処方してもらっているよ。でも、いきなりそんなストレートに言わなくても。

冷静になった自分が突っ込もうとするも間に合わず、正直な言葉が私の口から飛び出していた。そして、中途覚醒をなくすためにどうしたらいいか相談を始めていた。

先生も困ってる。そりゃそうだ。しかし先生は冷静だった。

「睡眠剤って、基本寝つきをよくするものが多くて、持続時間が長いものって少ないんだよね。翌朝に残ったりするとよくないから。どうかなぁ。」

そんなことを言うと、ひとつ処方を変えてくれた。

「一度リズムができれば改善できると思うから、試してみて。」

ありがたい。この睡眠問題が社会復帰のカギになる気がしていたから。

退院から1か月半。そろそろちゃんと職場復帰を考える必要がある。ちなみに今日の結果を見る限り、テレワーク等での職場復帰は問題ないが、通勤を伴う場合はプレドニン10mgを基準にしたいというお話だった。現状でも在宅での仕事はできると判断されてはいるが、いや、なんせ眠いんだ私。この睡眠問題をどうにかしてから仕事を始めたい、切にそう思っている。

だからこそ、どうにかせねば。お願い、朝までぐっすり眠らせておくれ。そして翌日スカッと活動させておくれ。

未だ睡魔に取りつかれている私は、その他いくつか確認することもメモしていたはずだが、寝る話だけでいっぱいいっぱいだった。でももうそれでいい。明日からスカッと目覚めれられればそれでいい。

4週間後の予約を入れ今日の診察室を後にする。

病院から帰宅した私は軽く昼食をとったらしき形跡のままで、お昼寝をしてしまっていた。無意識に寝てしまうレベル。自分で自分をコントロールできないのは、いったい何のせいなのか。

はっと目が覚めた時、テレビにニュースが流れきた。

「安倍総理 辞任表明」

かつて私に潰瘍性大腸炎が見つかった時、当時の主治医の先生に言われたこと。

「安倍総理と同じ病気です。」

この言葉がどれだけ私の心を勇気づけてくれたことか。

得体の知れない難病という病。仕事に生活にどうしたらいいか戸惑う私に、病気とうまく付き合えば総理大臣だってできるんだからがんばれよって、教えてくれたのがこの言葉でした。

そしてその後の転職活動時にも、病気のため退職し療養していたこと、その病気は安倍総理と同じもので、安倍さんも一度お休みされて復帰されてお元気に働かれているように、私もきちんと治療したので働けるってアピールして今の会社に入れたこと。

政治的なことや人的なことは抜きに、病気ことに難病と仕事という面において、私は大変お世話になったことが急に思い出された。

会見での言葉。

「志半ばで職を去ることは、断腸の思いであります。」

志半ばで去る。

このフレーズが私の心に突き刺さる。

病気で辞めざる負えない状況は、自分の意思ではなく体の悲鳴。だからこそ、心をどこに持ってけばいいかがわからないんだ。コントロールの仕方すらわからない。だから難病。難しい病。

私はこの言葉を、同じ状況で一番やりたかったプロジェクトを断念し模索している自分と重ね合わせていた。

「治療によってなんとか体調を万全とし、新体制を一議員として支えてまいりたいと考えております。」

この最後のフレーズにも重ね合わせる。私はどう職場復帰しよう。

会見を聞いて睡魔は飛んだ。屋根まで飛んだ。屋根まで飛んで、壊れて消えたかどうかはわからないが、今夜はちゃんと眠れるように願う。寝て覚めたら素敵な私なりの職場復帰案が降ってくることも。


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