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【睡眠改善に役立ちまくる最新データ5選】スマホの光、歩行パターン、始業時間の遅延、TikTok、睡眠時間と食事選好

今回は、睡眠に関連する最近のデータを5つほどまとめてお届けします!

1. 就寝前の光は強度が低くてもメラトニン産生量を低下させる

自然光でも人工光でも、寝る前に光にさらされると睡眠の質が低下する!みたいな研究は多いんですが、新たに「就寝前にさらされる光の強度でメラトニンの量に違いは出るか?」を調べた研究(R)が出ておりました。メラトニンはご存じの通り、松果体から分泌され、概日リズムをコントロールするホルモンですね。

これは3~5歳の36人を対象に、合計9日間かけて行われた実験で、簡単にデザインを確認しておくと、

  1. 1~7日目は規則的な睡眠スケジュールを記録し、子供たちの概日リズムを正常化、毎晩同じくらいの時間にメラトニンレベルが上がるようにする

  2. 8日目は窓に黒いビニールを貼って照明を暗くし、昼過ぎから就寝まで30分ごとに子供たちの唾液のサンプルからメラトニンレベルが上昇するタイミングをチェック

  3. 9日目は就寝1時間前にゲームをしてもらうが、その際光の強度を5~5000ルクスの間で変化させた

といった感じ。体内時計とメラトニン分泌のタイミングを安定させた後で、就寝前の光照射がメラトニン分泌にどんな影響をもたらすのかを調べたわけですね。

で、その結果、どんなことが分かったかといいますと、

  • 最終日、光を浴びた子供たちは、その強度によらず、前夜に比べてメラトニン濃度が69.4~98.7%抑制された

  • 光の強度が下位25%だった子供たちだけ、メラトニン濃度の低下のレベルが有意に低かった(それでも前夜に比べて平均77.5%も低かった)

  • そして光によるメラトニン産生遅延の影響は光照射後50分後でも確認され、これは光の強度によらず確認された

ということで、就寝前に光を浴びると、たとえ強度が低くても、強固かつ持続的にメラトニン産生が抑制されてしまうわけっすね。

まあ大人と子供では瞳孔の大きさが違ったりして光の感受性も変わってくるんで、大人ではここまでのインパクトはないと考えられますけど、少なくとも小さいお子さんをお持ちの方なんかは気を付けておいていただくといいんじゃないかと。


2. 睡眠不足は「歩行」という超シンプルな行動にまで影響する

睡眠不足が体に悪い!脳に悪い!っていうのは当たり前。例えば、心臓病、腎臓病、糖尿病、肥満、寿命のほか、以前PNASに掲載された論文では慢性的な睡眠不足は注意力が5倍低下する!なんてデータもありました。で、今度は「睡眠不足は”歩く”という一見単純でほぼ自動的にも見える活動にまで悪影響が出るよ!」って結論になっててビビりました。(R)

これは30人の学生を対象にした実験で、

  1. 14日間にわたって活動量計をつけてもらって一日の睡眠や活動パターンを記録

  2. 14日目には、参加者の半数の人たちには睡眠時間を削ってもらう

  3. その後、メトロノームのビートに合わせて歩くというトレッドミルテストを受けてもらう

といった感じ。2週間の習慣的な睡眠パターンと前夜の睡眠不足が歩行テストにどんな影響をもたらすのか?ってのを調べたわけですね。その結果をまとめると、以下のようになります。

  • 慢性的に睡眠不足だった人も前日に睡眠不足になった人も同様に、歩行テストのパフォーマンスが低下した(リズムを崩したり、ピープ音を聞き逃したりした)

というわけで、一晩だけでも慢性的にでも睡眠不足は「歩く」という単純な行動までうまくできなくさせてしまうわけですね。また、この研究ではもう一つ面白い結果も得られていまして、

  • テスト前に徹夜をしなかったグループのうち、週末に多くの睡眠をとっていた人たちの方がウォーキングテストの成績がわずかに高かった

だったそう。しかも、ウォーキングテスト自体は週末から数日後に行われていたにもかかわらず、このような傾向が確認されたってのが興味深いですね。

というわけで、「睡眠は体や脳に悪い」という漠然とした表現から一歩踏み込んで具体的な危険性を認識すると同時に、「理想は毎日十分な時間の睡眠をとることだけど、それが無理ならできるだけ多く、定期的に補うことも大事」っていう教訓を確認できる論文でしたねー。


3. 始業時間を遅らせることは子供だけでなく親の睡眠にもポジティブな影響をもたらす

続いては始業時間に関する研究(R)のお話です。AAP(米国小児科学会)が「始業時間を遅らせると子供の慢性的な睡眠不足を解消し、心身の健康や安全、学力などに幅広い効果をもらたす」として始業時間の見直しを主張しているのは有名ですが、最近の研究では「始業時間を遅らせるのって親の睡眠にはどんな影響をもたらしてくれるの?」ってとこを調べてくれておりました。

ここでは8,190人の保護者を対象にしてまして、高校の始業時間を70分、中学校の始業時間を40~60分遅らせ、小学校の始業時間を60分早めた前後で参加者の睡眠にどんな変化が出るか?ってのを調べております。調査はアンケート形式で、時間変更の約4か月前、6か月後、1.5年後に行われたそう。

その結果をざっとまとめておくと、こんな感じになります。

  • 高校生の子供だけを持つ親は1日当たり20分、中学生の子供だけを持つ親は1日12分多く眠れるようになった

  • 小学生と中学生の子供を持つ親は10分、中学生と高校生の子供を持つ親は20分多く眠れるようになったと回答した

  • 中学生または高校生の子供を持つ親は、始業時間の変更に伴って「よく眠れた」「とてもよく眠れた」と回答する人が9.3%増加した。同様に、小学生と高校生の子供を持つ親では4.8%増加した

  • 逆に、「疲れている」「かなり疲れている」と回答した割合は、中学生の親では10%以上、高校生の親では7%以上減少していた

ということで、始業時間を遅らせると親も睡眠時間や睡眠の質、疲労感におけるメリットを享受できるんだ、と。これはなかなかうれしい結果ですね。

また、朝バタバタする時間が減るだけで一日のストレスは減るし、仕事の生産性は上がるしで、始業時間を遅らせるのは睡眠不足や睡眠の質改善以外にもいろんなメリットがありそうですよねぇ。


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