見出し画像

「欲しい」と「買う」の間にあるもの。-JAPAN BRAND FESTIVAL TALK SaloooonVol.10

リモートワーク下になり、時間に余裕が生まれ、知識欲がとめどない。JAPAN BRAND FESTIVAL主催で面白そうなウェビナーをやっていたので試聴してみた。

ウェビナーとリスナーの相性は半端ない

本来は、対面形式で行われていたそうだが、昨今の状況下でウェビナー形式での実施に。ところがどっこい(C)楽天、とても快適だった。トークイベントはその場に訪れて、会場の臨場感を楽しむことが利点だが、逆に言えばウェビナーはその手間がない。しかも聞きながら別のことができるのが良い。そうかこれはラジオを聞いている感覚なのか、と気づいたのは、イベントが開始されてまもない時であった。イベントの間に、私は近所の肉屋で購入した味噌だれの豚肉を焼き、飯を食った後、ドラッグストアまでトイレットペーパーを買いに行けてしまった。ありがとう、ウェビナー。

“モノ“を買うから“物語“を買う〜選ばれ続けるブランドに必要なデザインとは?

が、今回のテーマであった。かなり前から、よく言われる概念ではある。広告会社にいた頃、「モノが売れない!これからはコトだ!若者の中でコト消費が云々かんぬん!」と盛んに叫ばれていた気もする。ゲストはプロダクトデザイナーの辰野しずかさん。どんな話が飛び出すか。辰野さんの事例に沿ってトークは進む。

画像1

grad. ice(https://grad.satuma-vidro.co.jp/

画像2

KORAI(https://koraikogei.store/

素敵か。

焼けた豚肉を頬張っている自分が恥ずかしくなる。ものが作られるまでのプロセスを丁寧に紡いでお話いただき、そのものがより魅力的に思えました。ものを欲しい!と思わせるには、そのものが生まれたストーリーを丁寧に伝えることが大切。

欲しいけど、なぜ買わない?

一方、欲しいけど、買わないということはある。金銭的問題など、「買えない」ということは除外して考えて、欲しいけど、買わないのはなぜかと自問自答。

たまたま手に持っていたトイレットペーパー(ダブル)は、必要だから買う(別に欲しくて買っていない)、というものであった。「欲しい」が「必要」になることが「買う」に至るドライバーなのか。いや、明らかに必要でないものも買ってしまったりする。「欲しい」と「買う」の間にあるものは一体。

二つのストーリー

モノがどのようにして作られているのか、それは1つのストーリーである。そのストーリーは、モノを売る人間のセールストークに変わり、「欲しい」という思いにつながる。

ウェビナーを聞いて、もう1つのストーリーがあるように思えた。それは、モノが買われた後、どのように使われていくかのストーリーだ。買ってきて、自宅のどこに置くか。誰と、いつ、どんなシーンで使うか。それが想像でき、モノのストーリーが自分のストーリーに置き換わると、「買う」に至るのではないか。明らか必要ないモノも、そのストーリーには必要だから買うのかもしれない。

デザイナーがデザインすべきもの

と考えていくと、デザイナーがデザインするのは見た目だけでなく、それらのストーリーかもしれない。見た目が○割ではないけど、もちろん見た目は大事。こんなにストーリーの話をしていて何であるが、パッと見て「素敵かよ...」と思えるものは、強烈に心を掴む。その瞬間は、ストーリーは介在しない。

その衝撃から、ふと我に帰り、欲しいと思えるか、買いたいと思えるかのところで、2つのストーリーが効いてくるのではないかと思った。

見た目ばかり綺麗なものもダメだし、御託ばっかり立派なものもダメ。身を引き締める思いとなったウェビナーであった。

JAPAN BRAND FESTIVALの記事はこちらもチェック