ぼくは熊


昼間は20℃以上あってまだまだ暑いのに日が落ちてきた途端に長袖を羽織っていても震えるくらいに冷える京都の秋に未だに馴染めずにいる

未だにとは言ったが今に至るまでの2年半の時間ほとんどを部屋の中で過ごしてきた身なので、汗が噴き出てくるような暑さとか耳がちゃんとついているか心配になるくらいの寒さとかを感じずに過ごしてきた

冬は今からやってくるのわけだがとても長いひとりきりの冬眠から目覚め腹をすかせて街までおりてくる熊の気持ちが分かるような気がしている

彼らは本能的なかば無意識的に毎年寒くなってきたら冬眠をはじめ、なぜかいい感じに周りがポカポカしてきたら目を覚まして春を迎えることができるらしい


一つの悟りの境地へ達したと勘違いしている中年からみんなのアイドルジャニーズまで、多少の言い回しに違いは見られるものの使い古されている言葉

開けない夜はないよ
今を凌げば必ずいいことある
長い冬の後にも春はやってくる

こんな言葉たちのなかに自分は居たいとおもったのだけれども収まりたくはない

ぼくはポカポカをうまく感じ取れているのだろうか

冬はまだ来ない

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