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高校入試研究⑧ 2021年度 筑波大学附属高校 国語 大問2

はじめに

約1週間ぶりの投稿となりました。今回は2021年度筑波大学附属高校の小説の問題を解説します。今回は設問数も多いので少々簡易的に。冬期講習の準備に向けて、そして年明けの高校入試に向けて忙しくなる時期ではありますが、体調に気をつけて過ごしていきたいですね。

筑波大学附属高校の国語について

筑波大学附属高校の国語は、50分の試験で、現代文2問が出題されます。例年は評論+小説という構成です。過去には随筆の出題もありました。古文はありません。最近の傾向としては、文章量は時間に対してそこまで多いというわけではありませんが、設問数がやや多く、選択問題、抜き出し、記述問題とさまざま出題されます。他の国立大学附属高校や市川高校の過去問などが対策には有効です。

出典情報

こちらです。


設問解説

問一

①設問分析
心情説明。

②傍線部分析
「ほっとした表情」=反応。「ほっとした」という表現から、このときの心情は「安心」「安堵」と判断できる。

③方針
男性が「安心」した原因をおさえる。

④解答要素
「本当かどうか確信が持てないようだった」=不安

              ↓

      「ええ、できますよ。」という結衣の返答を聞く(原因)

              ↓

      「ほっとした表情」=安心

問二

①設問分析
話の流れに合わせて、省略を補う。

②傍線部分析
「あ、いえ」=否定。まずは何に対しての否定なのかを読み取る。直前の結衣の「さっそく描かせていただきますね」というセリフに対しての否定であるとわかる。

③方針
結衣の「さっそく描かせていただきますね」というセリフを否定し、何を伝えたかったのかをその後の男性の行動とセリフから読み取りまとめる。

④解答要素
⑴結衣は当然目の前にいる男性の似顔絵を描こうとした
⑵それを男性は否定し、年配の男性と女性の写真をカウンターに置く
⑶「厚かましいお願いで〜ないでしょうか」というセリフから自分ではなく他の人の似顔絵を描いてほしいということを伝えたかったのだとわかる。

解答

実は私ではなく、別の人の似顔絵を描いていただきたいのです。

問三

①設問分析
言い換え。
②傍線部分析
「それと同じ類いの、ただのお節介サービスですから」とあるが、まずは「それと同じ」の「それ」に注目。直前の「お客さんにちょっとした手品を見せたり、〜小咄を披露したり」を指している。さらに「お節介」と「サービス」の意味をおさえる。「お節介」は「自分が勝手に他人の世話を焼く」という意味で、「サービス」は「他人のために何かをすること」という意味。

③方針
傍線部の言い換え=使われている語句の意味を分析する。

④解答要素
②から「頼まれたからではなく、自分がやりたくてやっている」という意味だと解釈できる。

問四

①設問分析
心情説明。
②傍線部分析
「男性は丁寧に頭を下げた。」=反応。「頭を下げる」は話の流れから「へりくだって頼み事する」=「恐縮」という意味。
③方針
「恐縮」の原因をおさえる。
④解答要素
男性「(似顔絵に対して)お礼はさせていただきます

             ↓

結衣「絵でおカネはいただかないことにしてますので」

             ↓
男性「ふさわしい対価が支払われて当然

             ↓

結衣「ただのお節介サービスですから」=原因

             ↓
男性「じゃあ、申し訳ありませんがお願いします」=納得→恐縮

             ↓

男性は丁寧に頭を下げた。

問五

①設問分析
語句説明。
②傍線部分析
「さか寿司はそういう土俵にさえ上げてもらえないわけですが、〜」とある。まずは「土俵」の意味確認。「土俵」には「争い・競争などの行われる場」という意味がある。それを踏まえて指示語の内容を確認。直前の「ライバル店との競争」が「土俵」にあたる。
③方針
さか寿司が「ライバル店との競争の場」に立つことすらできないということを理由を踏まえて説明する。
④解答要素
直前の男性のセリフからさか寿司は立地や店を営む男性の両親の高齢化により、経営状況がよくないということがわかる。だから、他の寿司屋にとっては気にするほどの相手ではない=同じ土俵に上げる必要すらないのである。

問六

①設問分析
内容説明。
②傍線部分析
「似顔絵という自己表現方法」なので似顔絵=自己表現となる。
③方針
結衣の「似顔絵を描く」ことがどう「自己表現」につながるかを説明。
④解答要素
⑴「似顔絵を描けるという、ちょっとした特技によって、誰かが喜んでくれる。〜幸せを生み出すツールを持っている」
⑵「似顔絵を描くときは、お客さんとの会話がよりいっそう弾む」
⑶「さまざまな人生ドラマを垣間見る楽しみも与えてくれる」

問七

①設問分析
言い換え。(比喩)
②傍線部分析
「結衣は、自分もちょっとだけ魔法が使えるようになってきたかもと心の中で、うふふと笑った」
⑴「魔法が使える」=比喩。「魔法」って何?
⑵「自分も」=他にも「魔法が使える」人がいるの?
       
「ひかりさんはうそを操る魔法使いなのだ
⑶「うふふと笑った」=「魔法が使える」ことは+。
③方針
「ひかりさん」のエピソードと「結衣」のエピソードの共通点を抽象化して説明する。
④解答要素
⑴ひかりさん=「うそ」で「結衣」に似顔絵が生活を充実させるツールであると気づかせた
⑵結衣=似顔絵を描くことで人を笑顔にさせる
⑶⑴⑵の共通点は「他人の役に立ち、幸せにする」ということ。

解答

誰かの役に立つことによって、その人を幸せにすること。

終わりに

今回は扱う問題数が多かったので、解説を(自分としては)シンプルにして見ました。いかがだったでしょうか?シンプルでありながら良問が揃っています。難関高校を受験する、かつ小説が出題される学校を受験予定の方はぜひ良いて見てください。
他にも解説記事を書いています。

開成シリーズ

難関高校入試の国語から学ぶ現代社会入門シリーズ

ぜひご覧ください。

お読みいただきありがとうございました。

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