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漆黒
2020年6月29日 22:20
どんよりとした低い、低い雲の隙間から明るい光が差し込み始める。「これなら晴れるかも。」私は手早くスケジュールを確認すると、今日の日付を探す。「うん、明日の昼までは大丈夫。」出かける時にいつも持っていくお出かけセットを押し入れから引きずり出し、車に積み込むと私は家を飛び出した。「この角度だとこっちか。」私は町の地図を頭に描きながら、光の差し込む方向からベストなポジションを探る。こ
2020年6月4日 00:05
ふと、私の目に留まったもの。何気ない日常の中にあって忘れていた遠い記憶。人はそれを思い出と言うのだろうか。泣き出しそうになるのを堪えながら急いで帰路を急ぐ。すれ違う人が不審な目で見てくるが気にしてはいられない。「早く帰ろう。」やっと見つけた居場所だった。座り込んでいた私に差しのべられたその手は大きく、語りかけてくれたその声も、よく見ると広い背中も、大人びたしゃべり方も、み
2020年6月18日 19:31
どれだけの時が過ぎ、どれだけの季節が過ぎて行ったか。いつもの変わらない日常がただ、ただ過ぎていく。いつの事だったろう。あれは3月の末の、風の強い午後だった。今日は何かいつもと違う。そんな予感がしたんだ。桜並木をくぐってキミの顔が少しこわばっていた。薄々、ボクはキミの願いに気付いていた。そのキミの願いに怖じ気づいた。キミの願いがボクの願いと同じだとあの時、言うべきだ
2020年6月19日 00:29
~君へ(僕より)~君へ。君は何故に毎日笑っていられるのだろうか。君の笑顔を見るたび僕は、幸せな気持ちになるのは何故なのだろうか。君が頑張っていることや、前に進もうとしている事は知っているよ。僕の声を直接届ける事は、なかなか出来ないけれど、僕の思いを君に届けたい。~君へ(私より)~君へ。君が居るから私は笑顔でいられるよ。君が笑顔で迎えてくれるから、私は笑顔でいられる。
2020年6月19日 00:31
「おはようございま~す。」私の名前の書いてある部屋にはいると、、、誰もいない。それもそのはず、個人の控え室なのだからいるはずがない。それでも私は声に出す。誰かが言ってたなぁ。。。『ショシンワスレルベカラズ』誰もいない。1人は寂しい。1人は悲しい。1人は辛い。お願いだから1人にしないで。私を1人にしないで。ねぇ!聞いてるの!?寂しいの!悲しいの!不安になるの!お願いだから!私の心が叫
2020年6月19日 00:32
私はピアノが嫌いだ。ピアノの鍵盤を弾く指が舞う。鍵盤を走る指の動きや強弱で、感情で変わる旋律。私の心を見透かされているような気がしてならない。いつか先生が言っていた。「何か不安な事とか嫌な事があったのかな?音に出てるよ。」私の心の奥底をピアノを通して見られている。そんな思いがして私はピアノから距離を置いた。幼い転は鍵盤を叩けば音が鳴るピアノと言う楽器が大好きだった。 私がピ