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写真を中心とした展評、書評、コラムです。不定期更新。
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#評論

写真のように 第7回 いまなお続く好敵手と“挑発”の問題

写真のように 第7回 いまなお続く好敵手と“挑発”の問題

展評 「挑発関係 中平卓馬×森山大道」

終了間際の展覧会、神奈川県立近代美術館 葉山で開催されていた「挑発関係 中平卓馬×森山大道」に滑り込んできた。美術館のある夏の逗子・葉山はあまりに風光明媚な場所で毎回行くのを楽しみにしているのだが、さすがに場所柄、季節柄海水浴客でごった返すことを考えると、盛夏の時期は避けざるを得ないな、などと先延ばししているうちに会期終了目前になり、慌てて東海道線に飛び乗

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写真のように 第6回 石内都の銀座の写真とその「エモさ」について

写真のように 第6回 石内都の銀座の写真とその「エモさ」について

第6回 展評 石内都「初めての東京は銀座だった」

東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催されている写真家・石内都の写真展「初めての東京は銀座だった」を見に行った。石内のような実績のある作家が、インバウンドで賑わう銀座の一等地で写真展を行うこと自体はそれほど驚くべきことではない。しかし、展覧会の内容、具体的にはテーマ(タイトル含む)と展示手法と演出(作品の配置・照明)については良い意味で驚かされた。4

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第1回  野村浩「メランディ」に見る「小さな父」とその可能性

中目黒のギャラリーPOETIC SCAPEで開催されていた、野村浩の新作個展「メランディ」がさる4月3日をもって幕を閉じた。新型コロナウイルスの流行とそれにともなう世界規模の混乱によって、会期短縮を余儀なくされたのはとても残念だが、それでも初日と最終日と二回見ることができたのは幸運だった。また、コロナ禍という特異点がなければ得られなか

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