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海外で64円握りしめて16人部屋で3ヶ月半暮らした話

私は、仕事を辞めてオーストラリアにワーキングホリデーに行くことにした25歳の春。
同期は社会人四年目に入り、仕事に責任を持ち、貯金をし、
人によっては結婚している。

そんな中私は
働いたお金で毎晩飲み歩き、仕事を辞めてからの1ヶ月半に
「出国前のご挨拶」と称して20万近くを飲み代に使っていた。
もちろん奢ってもらった分は除いて。

結局、オーストラリアについて生活を始めた際の手持ちは
8万。

無計画の馬鹿野郎である。
高校生だって、中学生だってもっとお金を持っているし用意してくる。

そんな私はバックパッカーホテルという
「見知らぬ者同士が一つの部屋に寝泊まりするホテル」
で生活を始めることにした。

1週間で約170オーストラリアドル。約13,600円(1$=¥80計算)
決して安くはない。
なぜなら私がいたのはシドニーのど真ん中。タウンホール。
強いて言うなら新宿のど真ん中のホテル。

そりゃ複数人部屋でも高いわ。でもさ
16人部屋なんですよ。

聞いたことある?16人部屋。
私はなかったです。
バンクベッド(2段ベッド)が8つ、壁沿いに並んでるの。
誰かベッドに乗るたびに

ギゥィィィ!ギゥィィィ!って鳴る。
そして窓がなく暗い。湿気なのかもわっとしている。
空気のこもったまるで監獄。入ったことないけど。

しかもなんか臭う。
原因は同室のフランス人の足がクサイから。

集団行動で困るのは
・片付けない
・物がなくなる(勝手に使う)
・クサイ
この3つがどこでもあること。

ダイソーに行き、脱臭炭とファブリーズもどきを買ってきて、
寝てる間にかけまくるの。ベットの下には脱臭炭。
靴がビッチョビチョになるくらい。
足もビッチョビチョになるくらい。でも起きないのこれが。

横のベットには目が血走ってる男がいる。しかもペンギンみたいな歩き方。秒速2センチメートル。
想像してごらん?目の血走ったペンギンが歩いてくんの。
隣のベッドだからね。

♪いつでも〜 そ〜ばにいるよ〜
つって。

怖いのが時々、ギロッ て音が聞こえるくらい
突然振り返って

「い・ま・な・ん・じ・?」(英語で)


って聞いてくるんだけどガチでホラー。殺されるかと思った。

イメージできない人はペニーワイズでも思い浮かべといて

はぁーい!ジョージ。つって。

キッチン、リビングはゴミ散乱してるし、
皿とかも使いっぱなし。

一応、片付けてくれる人もいるけど、
それでも汚い。食べかけ飲み残しなんでもあり。

そんなホテルに
3ヶ月半住んでました。
自分でもやばいと思ってる。でもお金がなかった。

だってお金を盗まれたから。
スキミング。
クレジットカード情報が抜かれ、
行ったことのないサンフランシスコで使われていた。

サンフランシスコ。私が行きたい。
とか言ってる場合ではなく、たった8万しかない私の軍資金は
2週間を経たずにして、財布に30ドル(約2,400円)とカードに残った64円。


64円。


絶望した。

だって言葉もうまく話せない土地で
お金もなくて仕事もない。

保険もなくてツテもない。
怖かった。どうしたらいいかわからないし。
そんな不安な中に大麻吸ってパッパラパーな奴らが
屋上でニヤニヤしてる。そんな日々。


唯一の救いは一緒に来ていた友達2人。
1人は「なんとかなるって!」と励ましてくれた。
1人はリビングで腕立てしてた。
なんかどうでもよくなった。

受付のマレーシア人は
「僕がいる時はちょっとだけお金安くしてあげる」と
勝手に割引したり、支払いを待ってくれたり融通を利かせてくれた。
日本人の女の子めっちゃ口説いてた。

バッパーで仲良くなった人たちも
「これ食べなさい」とご飯くれたり、
「一緒に飲むか?」とワインくれたり。
バッパーは酒の持ち込みは禁止。

出会って1日も経たないくらいの私をみんな助けてくれた。

その中でも一番嬉しかったのは退去のために、荷造りしていた時に出てきた
友人からの手紙と封筒に入った壱万円。

泣きそうになった。

それを祈るように手にとって。

換金所に行った。

また1週間、寝る場所ができた。。。



仕事も見つかった。お金も貯まり始めた。
生活は苦しかった。
しかし今までで一番濃い出会いがあり、充実した日々だった。

3ヶ月後、私はみんなにお礼を言ってバッパーを出た。

飛行機に乗って、
日本に戻って結婚式に出席した。


オーストラリアに戻ってきた時、

また手持ちが30ドルになった。
パッパーに戻ったらみんなに笑って言われた。

「お前は最高だよ」って。



でもあとで気づいた。友達が一人消えてた。

私なんかにサポートする意味があるのかは不明ですが、 してくれたらあなたの脳内で土下座します。 焼きじゃない方の。