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サステナブルな社会に向けてキャリコンができること

本日、日本キャリア開発協会長野地区主催ウェルカムイベントを無事開催いたしました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。


今回は、実際に講演を聞いたうえで心に残ったことを書き綴ってみます。



SDGsとは職場と社会の“不”を解消すること


SDGsとは「持続可能な開発目標」です。しかしそれっていったい何を指しているのか・・・

企業でいうならば「本業で儲けながら社会課題を解決するビジネスモデル」無理なく実践するということです。

儲けるというのは、人が満に思っていることや足していることを解決することで利益を上げるという意味です。

つまり“不”の解消です。

みなさんのお仕事も、きっと顧客の抱える“不”を取り除くことで成り立っているのではないでしょうか?

わたしの場合だと、学校で教え育てることは、学生の知識不足・経験不足を補うことですし、社会の働き手不足を解消するために人材を育成しているわけです。
授業では、テキストを読んだだけでは不理解な部分をかみ砕いて伝え、実習を行ううえでの不明瞭な部分を説明しています。

学生の立場で考えれば、知識が不十分なまま勉強しているとやがては無力感を抱いてしまい、それが不機嫌な態度や不幸せな学校生活につながってしまいます。これでは学校自体が持続不能に陥ってしまいます。


こうやって考えると、“不”を解消することは持続可能な組織であるために欠かせないことなんですよね。

今日の学びの前半は、この部分に重きを置いてお話しが展開されました。
やっぱり何度聞いても(笑)腑に落ちますね。



能力は保有するもの、実力は発揮するもの


「17の目標に当てはめて「○○に取り組んでいます」とか、バッヂをつけたところで、持続可能な社会になるわけではありません。大切なのは『そこに行動が伴っているか』ということです。」―――そんなお話しがありました。

持続可能ということは、現時点で持続するための活動が行われていなければなりませんし、改めて言わなくてもずっと続けてきているわけですから。


ではどんな行動をするのかというと・・・


それは「実力を発揮できる組織づくり」です。

能力とはスペックのこと。どんなにいい車やスマホでも、それなりに年数が経てば性能が落ちてきます。同様に人も、身に着けた能力は(時代や環境の変化による)経年劣化が避けられません。

この劣化の原因こそが、先ほどの“不”なんです。職場に溜まる“不”を取り除くことで、本来持つ能力を引き出し、実力を発揮できる環境を整えることができます。

能力を100として、“不”によって実力が60%しか発揮できないとしましょう。
すると、【100×0.6=60】にまで下がります。
この状況で合わせて300を発揮するには、
100×0.6×5人=300】と5人必要なことがわかります。

ところが、“不”を解消して実力発揮ができる環境を整え、80%まで改善できたとします。すると、【100×0.8=80】にまで伸びるんです。
ここで300を発揮するとしたら、
100×0.8×4人=320】と4人で達成できることがわかります。

これは人材確保に苦しむ企業にとって重要なヒントになると思うんです。より多くの人手を集めることと、職場に蔓延する“不”を解消すること、どちらの方が持続可能か? どちらの方が今すぐ行動できるか?


しかも、“不”の解消=実力発揮は、時代の変化に合わせて変えていくことができます。ここ3年間の社会の変化を見れば一目瞭然です。いち早く実力発揮できる環境を整えた企業は、この状況下でも成長を果たしています。

能力とは保有するものであり、能力伸長とは人材開発のことです。
実力とは発揮するものであり、実力発揮とは組織開発のことです。

わたしたちキャリアコンサルタントは、相談者の抱える“不”を解消するために関わります。それを個人に対して行うだけでなく、職場全体・組織全体に対して行うことで、組織開発につながっていくわけです。

これからのキャリコンは組織開発に目を向けて関わる力が必要になる―――それを今日の講座で学びました。



人的資本とは戦略人事


企業の情報開示責任として、これまでは「モノ・カネ」に対して行われてきましたが、いよいよ「ヒト」に対しても行われることになりました。それが人的資本です。

岸田政権下で人的資本が重要施策に挙げられ、まもなく大手企業から順次、「ヒトへの投資をどれだけ行っているか」を開示することが義務付けられるのではといわれています。これにより、男女の雇用格差や賃金格差、残業時間、研修にかける経費など、人に関わるあらゆる情報を公開することになります。

それはESG投資がこれからの当たり前になっていくからです。ESGとは環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)のことで、具体的に取り組むための目標がSDGsです。中でも、社会(Social)はキャリアコンサルタントがもっとも活躍を期待される分野になる―――と言われているそうです。


従来の管理人事(人的資源:Human Resource)では、人件費をコストとして捉え、効率的かつ可能な限り少なくすることがよいと考えます。

しかし戦略人事(人的資本:Human Capital)では、人は利益を生むための資本と捉えて、そこにかかる費用は投資と考えます。

つまり、人材開発や組織開発にどれだけお金や時間をかけているかという企業の姿勢や本気度が問われることになります。またそれが投資家の企業評価につながっていきます。その考え方は、もはや経営者です。戦略人事とは、経営戦略に基づいた人事戦略といえます。


『ヒトに投資する企業ほど成長する』という流れは、すでに世界では大きく動いています。それはESG投資のS=社会ですから、キャリアコンサルタントが担う分野ということです。




今日は貴重なお話しが聞けました。

こういう知識をいち早く仕入れておくことで、組織開発寄りのキャリアコンサルタント(例えば企業内キャリコンなど)にとって、さらなる活躍が期待できます。

これまでキャリアコンサルタント・キャリアカウンセラーというと、相談者の悩みを聞くことが中心だと思われてきました。もちろんそれは必要とされ続けるでしょうが、その一方で人的資本や戦略人事といった経営寄りの活動も期待されるようになります。


「キャリコンの資格を取った後に何をしたらよいのか」なんてお話しを聞くこともありますが・・・
地区会などの学びの場に出向いて様々な人とのネットワークを広げながら、OSレベルでのバージョンアップを図っていくことが大切だと改めて感じました。

わたしはその場をつくる側ですから、みなさんの役に立つ情報を提供できるようアンテナを磨くことが求められています。
それがわたしの果たすべき役割であり、またわたし自身の成長の機会となると感じています。


この充実した思いを忘れないうちに、次の一手を考えて行動します!




明日も佳き日でありますように

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