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「『使える人材』を見抜く採用面接」細井智彦(著)

 コロナはビジネス環境も大きく変えた。テレワークは今も政府から積極的に求められてる労働の仕方であり、これは人々によって好き嫌いあるだろうが、私は個人の使える自由な時間が増えたと考えている。

このような新しい環境の中で当然、面接というのも大きく変わった。これまでは直接コミュニケーションを取る形であったがオンラインで画面越しに面接を行うというのは企業の採用する側も最初は難儀したのではないだろうか。本書はコロナ以前に書かれた本だが、採用を行う側である企業にとって「面接」という行為で必要な姿勢を享受してくれる。

・何を問うのか

 私は直接面接を行った方が当然、得られる情報量が多いと考えていたが、本書を読んで直接会わずとも企業にとって必要な人材かを見極めることのできる質問を投げかけることが出来たら、必要か否かの判断はできるということを学んだ。

面接において重要なのはコミュニケーションであることは間違いないが、審査の場であることも確かで、いかに的確な質問を面接官側が製作して投げかけられるかという人事の難しさというものも感じる。

 就職活動や転職活動となると今では様々なサポートをしてくれる人々が存在し、テンプレが出来上がっている。そのため基本的な所作に個人差は見られない。

だからこそ質問を通して当人の内面を面接官は引き出していく必要がある。そのためにはやはり質問が大事になってくるのだ。

本書ではその個人の内面を引き出す質問の内容などについていくつもの事例を出して紹介してくれる。質問次第で得られる情報が違い、また限られた時間であるがゆえに効率的な質問の製作はかかせない。

・審査の場

 この審査は面接官が就活をしている側を審査するという意味も当然あるが、それだけではない。逆もあるのだ。

就活をしている側にとっては面接官はこれから所属するかもしれない企業の社員の一人であり、限られた情報の中ではその面接官の態度はそのまま企業の印象に直結するという本書での指摘は私にとって刺激的だった。

面接をする側も審査されている。だからこそ双方共に謙虚さを忘れてはいけない。居丈高な態度をとる人事はむしろ優秀な人材を遠ざけてしまう可能性があるというのは確かで、優秀な人材はそれ相応の環境を求めているのだ。

・時代が変わっても変わらないもの

 前に西川喜文氏の「仕事と人生」を読んだ時にも感じたことだが、人間基本的なことを忘れがちだということだ。やはり面接においても基本が大事。

なぜ面接をするのか。

どういう人材が欲しいのか。

そのために限られた時間の中で何を質問するべきか。

採用したい人材が当社を選んでくれるためにはどうあればいいのか。

このようなことは人事側にとってはわかっているのかもしれないが、一度謙虚になって見つめなおすことも時には重要だ。

直接面接がなくなったことで自信をなくしている人もいるかもしれないが、直接面接が絶対ではない。正直、直接だろうとオンラインだろうと緊張感は変わらないと考える。

どっちにしろコミュニケーションが取れて相手がどのような人間かという情報を引き出し判断することだけが面接の基本であり根本なのだ。その時に決して面接官が謙虚さを忘れてはいけない。双方共に緊張感を持って面接という場に臨むことが重要なのである。

 本書は面接をする側、される側双方にとって有益な書と言える。何を聞くのか、聞かれるのか。双方が面接の場というものを理解するうえで大切なことを学べる本だと思う。

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